福島県南相馬市の畜産農家が出荷した黒毛和牛11頭から暫定規制値(1キロあたり500ベクレル)を超える放射性セシウムが検出された問題で、農家が餌に使用していた稲わらから高濃度の放射性セシウムが検出されたことが分かった。県によると、昨秋刈り取り、田んぼに放置していた稲わらを牛に与えていたという。県は稲わらが汚染源だった可能性が高いとして、餌の管理体制強化を検討している。
県畜産課や農林水産省の職員が10日、この農家への調査を実施。牛の飲み水にしていた井戸水や配合飼料、稲わらなどを調べたところ、井戸水や配合飼料に問題は見つからず、稲わらからは問題となった食肉(3200~1530ベクレル)の10倍以上の放射性セシウムが検出された。
福島第1原発事故後、国は家畜について、餌となる干し草や稲わらは事故後に刈り取ったものを使わず、屋内で管理することなどを県に通知。指導が守られているか聞き取り調査した上で安全確認できた牛を出荷していた。この農家は毎日新聞の取材に「国の指導通りにやってきた」と話しているが、県は今後、稲わらの保管状況や量、時期などを詳しく調べる。【蓬田正志】
毎日新聞 2011年7月11日 東京夕刊