福島県本宮市にある家畜市場では11日、肉牛の競りが行われましたが、南相馬市から出荷された肉牛から国の暫定基準値を超える放射性セシウムが検出された影響もあって、平均の落札価格が去年より2割ほど落ち込み、農家から今後の取り引きに対する不安の声が相次ぎました。
この競りは本宮市にある県の家畜市場で毎月1回行われているもので、11日は県内で飼育していた生後300日ほどの子牛およそ330頭が競りにかけられました。福島県では南相馬市から出荷された肉牛から、8日に国の暫定基準値を超える放射性セシウムが検出され、県が南相馬市に対し、肉牛の出荷の自粛を要請しています。このため11日は当初、南相馬市の農家から出荷が予定されていた12頭の牛の出荷が急きょ取りやめになりました。競りの結果平均の落札価格はおよそ32万6000円と、去年の同じ時期と比べて2割ほど落ち込みました。二本松市で肉牛を飼育する安斎重さんは「放射性セシウムが検出されたため、おとといは横浜市の市場から買い手がつかないと言われ、当日に出荷をキャンセルした。福島県産というだけで肉牛が売れなくなり、大変不安を感じています」と話していました。また農家の餌のわらから国の目安を大幅に超える放射性セシウムが検出されたことについて、川内村で肉牛を飼育する井出美代子さんは「わらはぬれないように原発事故の前からも屋根のある納屋で保管してます。事故のあとに外にわらを置いておくのは考えられません」と話していました。競りを運営するJA全農福島畜産部の助川栄太郎次長は「県の詳しい検査を基に、農家への指導を徹底したい。また、福島県の農家を守るため、国や県には消費者が安心できるような検査態勢を示してほしい」と話していました。