EU=ヨーロッパ連合の「ストレステスト」は、東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて、これまで想定していなかった事態も含めて原発の安全性を再確認する評価の仕組みで、5月にテストの実施について合意し、域内にある143基すべての原子力発電所が対象となっています。
テストでは、地震や洪水などの自然災害で異常事態が発生した場合の備えなどについて評価するほか、発電所の近くでの火事や爆発、それにテロ行為なども想定することにしています。そして、外部電源やバックアップの発電機などすべての電源が失われた場合や、冷却水が失われるケースなど、炉心冷却の機能が失われた場合の備えについて評価することを義務づけています。ストレステストは先月1日から始まり、このうち第1段階のテストは、EUが定めた手順書に従って原発を運営している企業がみずから行ったうえ、10月31日までに報告書を提出します。この報告書を基に、各国の原子力規制当局が12月31日までに第2段階の評価を行ったあと、各国の代表などからなるチームが最終となる第3段階の評価を行います。第3段階の評価を行うチームは、実際に原子力発電所への立ち入り調査を行う権限も与えられていて、来年4月末までに最終的な報告書を作成し、EUの首脳会議に提出することにしています。最終報告書では、ストレステストを通じて明らかになった問題点とともに、その対処方法についても盛り込まれることになっていますが、EUでは、多額の費用がかかるなどの理由で対処が不可能な問題が分かった場合には、その発電所を閉鎖することもやむをえないとしています。