わが国における男女別の肺がん死亡率と喫煙者率の推移をみると、最近40年間で男性喫煙者率は明らかに低下し、女性喫煙者率はほぼ横ばいであるのに対し、死亡率は男女ともに顕著に増加しているという事実がみられます。喫煙の影響が現れるには20-30年程度のタイムラグをみる必要があると言われていますが、タイムラグを考慮しても肺がん死亡率の動向は喫煙者率の推移とは多くの点で一致しません。

日本における喫煙者率と肺がん死亡率の推移
日本における喫煙者率と肺がん死亡率の推移

出典) 肺がん死亡率:「国民衛生の動向」厚生統計協会
昭和60年モデル人口を基準とした年齢調整死亡率)
喫煙者率:JT調査

また、世界各国を男女別に比較すると、喫煙率と肺がんによる死亡率との間には必ずしも相関関係がありません。

各国の喫煙者率と肺がん死亡率の関係
各国の喫煙者率と肺がん死亡率の関係

注) 肺がん死亡率は、肺がんの他、気管・気管支のがんを含む
出典) 「国民衛生の動向」 厚生統計協会 (1994年〜2002年)
(肺がん死亡率は世界人口を基準とした年齢調整死亡率)
調査年: アメリカ 1994年、イギリス 1994年、ドイツ 1992年、
フランス 1993年、日本 2000年
(但し、ドイツの肺がん年齢調整死亡率は1991年データ)

これらのことから、私たちは、喫煙の健康への影響については今後の更なる研究が必要と考えています。