玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)の再稼動問題で、鍵を握る存在となった岸本英雄町長のファミリー企業に、旧建設省と佐賀県のOBが天下りしていたことが明らかとなった。
原発利権にすがる地場ゼネコンと、国、県、立地自治体の不適切な関係。中心にいるのは岸本町長その人である。
「岸本組」取締役に国と県のOB
岸本町長のフェミリー企業は、地場大手ゼネコン「株式会社岸本組」(本社・佐賀県唐津市)。岸本町長は同社創業者のひ孫にあたり、現在の同社社長には岸本町長の実弟(佐賀県警OB)が就任している。
HUNTERの調べによると、平成13年4月末に建設省九州地方建設局(現・国土交通省九州地方整備局)を退職した人物が同年5月1日には岸本組技術部長に就任。平成17年からは取締役に昇格していた。
一方、佐賀県を平成15年3月末に退職した人物は同年5月に企画部長として岸本組に入社、平成17年からは同じく取締役となっていた。
ふたりは、平成21年7月にそろって退任しているが、それぞれの入社は岸本町長が県議会議員に在職していた時期となる。
癒着の構造
岸本組は、国土交通省、佐賀県、玄海町の公共事業を受注してきており、同社ホームページにも得意先として明記している。
同社における民間最大の得意先は、玄海原発の事業者である九州電力とその子会社の西日本プラント工業。
岸本組が原発利権に支えられた企業であることは、得意先や受注した工事からも明らかで、天下りの事実が示す癒着構造には改めて批判の声が上がりそうだ。
岸本町長は、岸本組の株式7,000株以上を保有しているほか、自宅の土地は亡くなった同社創業者の名義、後援会事務所の建物は岸本組の所有であることなどがわかっている。
岸本組本社は、一切の取材を拒否する姿勢。