韓国企業を育てる「ソニーの革命家」(中)

 「携帯電話とパソコンでは既に複雑な情報処理部品が減っており、今後はさらに減ることになる。代わりにグーグル、アマゾンのデータセンターがサムスンの半導体工場よりも大きくなるはずだ。2000ドル(約16万円)を超えるテレビも、今後は数十万ウォン(数万円)のモニターに取って代わられるかもしれない」

 久夛良木氏は「IT機器・部品が簡素化し、値上がりすれば、韓国のIT企業は中国企業との差別化がさらに困難になる」と警告した。

 そして、このような変化に対抗するため、新たな発想が必要だと指摘した。

 「アップルのコンテンツサービスが好調なため、うちもコンテンツを始めようといったやり方では駄目だ。まねをすれば、成功する確率は低くなる。データセンターのようなITシステム開発能力にしても、シリコンバレーには中国やインドの人材が豊富にいる。『韓国人だけが可能なこと』を探し出し、先に始めなければならない」

 久夛良木氏は「例えば、現在の半導体はクラウド・コンピューティングの概念を設計に反映できず、処理速度が遅い。サムスンがそれを改善した画期的な半導体を開発すれば、中国やアップルは追い付けないはずだ」と指摘した。

 同氏はまた「音楽・映画をインターネット上に保存し、呼び出す程度のことは始まりにすぎない」と述べた。今後は個人のあらゆる生活スタイルを「保存」し、必要なときに映画『マトリックス』のようにバーチャル体験できる「タイムマシーン時代」が訪れるかもしれないと予測した。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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