関西支部 デジタル造船資料館 ( 目次に戻る )
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6.計装システム
電気部 装備機器の変遷

 機関部の計装制御システムは船舶の運航の経済性の向上や省人化のニーズとエレクトロニクス技術特に
マイクロ・コンピュータの技術の進歩のより、ここ50年で見て、大きく変わった分野と云えよう。
 その発展のステップを簡単に辿るとおおよそ次のようになると思われる。

 @ 機関部のデータ(主機、補機、発電機などのデータ)を乗組員が記録していた時代・・・1965年以前

 A 機関部のデータを電気式センサーで検出し、1か所に集め監視するようになった。監視盤を設け、
   監視のロジックはリレーやタイマーにより構成し、表示にはランプを用いた。・・・・1965年頃より

 B 監視のロジックは標準化されトランジスターやICが用いられるようになり、計測点1点を1カードで処理
   する時代となった。 監視盤にはミミック・パネルが用いられた。 ・・・・1970年頃

 C 計測点が増えるに従い、1:1の配線では物量が増大するため、多重伝送が導入され、信号処理も
   LSIを用いたロジック回路で切り替えて行われ、LEDで表示するようになった。・・・・1978年頃

 D 8ビットのマイクロ・コンピュータが開発され、入手容易になったことにより、8ビット・マイコン+多重伝送
   +2CRT(モノカラー)のシステムが出てきた。 ・・・・1980年頃

 E さらに16ビットのマイクロ・コンピュータが開発され、16ビット・マイコン+多重伝送+2CRT(カラー)の
   システムが登場した。 ・・・・1985年頃

 F 32ビットのマイクロ・コンピュータが開発され、32ビット・マイコン+多重伝送/船内ネットワーク+
   数台のCRT(カラー) の時代となった。 ・・・・2000年頃
      注) 1995年12月、パソコンに初めて32ビットCPUが用いられ、OSとしてWindows95 が
         華々しく登場した。 Personal Use の世界に、32ビットCPUが用いられたことは衝撃的なこと
         として大きく報じられた。
         有り余る能力を持ったパソコンの登場は、コンピュータへの映像の取り込みやネット社会の
         到来を予測させた。  しかし、32ビットのCPUが船の世界に用いられるのは、OSの
         Real Time 性の問題もあり数年遅れることになった。

 G 船の外から船内のデータを見たいと云うニーズがあり、上記のシステムは船内のパソコンとつながり、
   インターネット計装へと発展しつつある。 ・・・・2005年頃から

 システムのコンピュータ化が進むとソフトウエアが大きな問題となる。
 それぞれのステップにおいて  Real Time OSの問題 (intel iRMX, TRON, Windows CE 等)
 開発言語の問題 (機械語、Assembler, C言語 等)  描画ソフトの問題、通信ソフトの問題 があり、
 当事者の血の滲むような努力があったことを付記するにとどめる。


6−1.機関部コンソール

1) 三菱電機の機関部コンソール
  (昭和43年頃)
2)富士電機の機関部コンソール
  (昭和43年頃)
(船舶電気工学 便覧の広告より)
(タービン・タンカー向)
(船舶電気工学 便覧の広告より)

 上記1)も 2)も 写真がよくないので分かりにくいが、昭和43年頃の Engine Control Room の典型的な風景と思う。 デスク型のコンソールに入りきれない信号処理回路のリレーやタイマーは垂直部のパネルに組み込まれたものと思われる。

3)星光丸コンソール (1971年2月竣工) 4)大洋電機コンソール (2005年頃)


表示がCRTまたはLCDに変わっている
(インターネットより) (カタログより)

5)JRCS警報システム/コンソール

6)赤坂鉄工 機関部コンソール

計測点と警報ユニットが 1:1 (2005年頃)
(カタログより)

液晶パネルを使用(2005年頃)
(カタログより)


6−2.監視・警報システム

1)富士電機 データロガー 2)山武 カレントラーム
(1968年頃)

計測点1点に対し
1ユニットカードが用いられた
1単位の全面寸法 : H150  W38mm

                    (1968年頃)

3) 理化電機工業 データ・ロガー

4)寺崎電気 データロガー

計測点と警報ユニットが 1:1
(1968年頃 舶用機関計画 便覧の広告より)

WE6 (1980年頃)
(カタログより)

5)寺崎電気 データ・ロガー

 32ビットCPU、多重伝送、LCD 2台 を用いたシステム。 オプションとして船体部の監視システムと統合することも可能、またイーサーネットにより船内各所での表示可能、パソコンとの接続もできる。 また衛星通信インマルサットとの接続も可能。

WE22 (2005年頃)  (インターネット カタログより)


6−3.コントロール・ルーム

1)ジャパンマグノリア (MHI  広島SNO.3034 1969年8月完工 M0第一船)
 
・コンソールの監視面には MIMIC PANEL が用いられている。 
・メータの数が多い。

2)比良丸 (MHI 神戸 SNO.1028 NYK C/S 1972年4月完工)

3)MERCURY DIAMOND (MHI 神戸 SNO.1195 NYK PCC 1993年8月完工)

・16ビットCPU + 多重伝送 + 2CRT のコンソール。
・メータは少ない。CRT表示となった。

4)MOL EFFICIENCY (MHI 神戸 MOL C/S 2003年4月完工)

左半分を写す

右半分を写す

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