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『安全』発言への批判相次ぐ――山下俊一教授に抗議

週刊金曜日 7月10日(日)22時36分配信

 福島原発事故後、県の「放射線健康リスク管理アドバイザー」に任命され、県内各地の講演で「年間被曝量が一〇〇ミリシーベルト以下なら安全」などと主張している長崎大学の山下俊一教授に対して六月一五日、市民団体のメンバーが抗議した。

 この日、都内で開かれた山下教授の講演会終了後、インターネットサイト「福島原発情報共同デスク」の運営に参加しているAさんが教授に「一〇〇ミリシーベルト以下なら大丈夫」と発言してきた事実を問い質した。

 これに対し山下教授は「『大丈夫』とは言っていない。『わからない』と言っている」と返答。Aさんが「それは最近になってからで、初期には『大丈夫』と言っていた。『大丈夫』と『わからない』は違う。あなたの言動によって、県民が自主避難しにくくなっている」と批判したが、「そうでしょうか」と反論不能の状態に。

 さらにAさんが「アドバイザーを辞任する意思はないのか」と質問したところ、無言だった。

 また福島大学の一二人の准教授が六月六日、県に対し、このほど設置された県民の被曝調査検討委員会座長に、山下教授を任命したプロセスと根拠について説明を求める要望書を提出。二一日には、「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」や国際環境団体の「FoEジャパン」ら四団体の代表が、山下教授の解任などを求める県民署名運動について都内で会見を開いた。

 席上、同「ネットワーク」の中手聖一代表は、「『何の問題もない』『子どもは外で自由に遊ばせていい』という山下教授の言葉を信じ、わが子を被曝させてしまった親の後悔、罪悪感を理解しなければ、この署名の意味もわからない。『被曝を減らす』という名目で外部から招いた人物が、被曝した子どもを増やしていいのか」と、涙ながらに抗議した。

 なお一三日に開かれた福島県議会特別委員会で、石原信市郎県議(県民連合)が、山下教授のアドバイザー解任を要求している。

(成澤宗男・編集部、6月24日号)

最終更新:7月10日(日)22時36分

週刊金曜日

 

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