中曽根康弘元首相の所蔵資料を管理する公益財団法人「青雲塾」が、国立国会図書館との間で、資料を寄託する準備を進めている。中曽根氏は、政治家には歴史を記録する責任があるとの考えを持ち、戦後政治の歴史をたどる貴重な資料を廃棄せずに残してきた。寄託後は公開を予定している。
青雲塾によると、中曽根氏の資料は約40万点に達し、高崎市の青雲塾収蔵庫と、東京の事務所に保管されている。15日に青雲塾から段ボール110箱、4トントラック1台分を国会図書館に運び込んだ。首相時代の記者会見で用意した資料に中曽根氏自身がメモを書き加えたものや、政治家、文化人、経済界の人たちと交わした書簡などで、政治の決定に至る過程をたどることができるという。
国会図書館憲政資料室で分類・整理した上で目録を作成後、正式な寄託契約を締結する予定。その後、青雲塾などが保管するさまざまな録音テープや映像記録なども順次寄託する。
青雲塾の殿地(どんじ)眞己常務理事は「青雲塾だけでは、マンパワーの問題で資料の整理がなかなか進まなかった。歴史の記録として専門家の手で整理されることはありがたい。55年の保守合同までの記録などは研究者にとって特に貴重なのではないか」と語っている。
憲政資料室は幕末期以降の政治家、軍人、官僚など約400人が所蔵していた文書類など28万点を収蔵している。【増田勝彦】
毎日新聞 2011年6月28日 地方版