下田「熱い試合見せたい」全米中継ゲットだ！…ＷＢＡ世界Ｓバンタム級戦

計量を終え、キャンギャルの脇で挑戦者・ラモス（右）とポーズをとるＷＢＡ世界スーパーバンタム級王者・下田昭文

　◆プロボクシングＷＢＡ世界Ｓバンタム級タイトルマッチ　王者・下田昭文―同級１位・リコ・ラモス（７月９日、米ニュージャージー州アトランティックシティー、ボードウオークホール）　王者・下田昭文が、自分の拳で“アメリカンドリーム”を手に入れる。指名挑戦者、リコ・ラモスとの初防衛戦は９日（日本時間１０日）にゴング。日本人王者初の米本土での防衛戦を生中継する米大手テレビ局「ＨＢＯ」の幹部は８日、下田の試合内容によるが、今後も下田を米国に招き全米向けに防衛戦を中継する考えを明かした。８日（同９日）は当地で前日計量が行われ、王者、挑戦者とも一発でパスした。

　カジノホテル内で行われた公開計量。リミットから２００グラムアンダーでクリアした下田はスポンサーのビール会社のＰＲガールに挟まれ、客の前でラモスとにらみ合う。定刻より２０分遅れの開始にも「やっぱこれも米国かな」とどこ吹く風。ショーアップされた本場の計量に「雰囲気がいい。こんな遠くまで来て米国人と戦えるのはワクワクする」と目を輝かせた。

　新米王者が「歴史」を作る。日本人王者の防衛戦を初めて中継するＨＢＯのケリー・デイビス副社長は「我が国のホープが挑戦者であったこと。なにより（ビデオ）テープを見て、シモダは面白い選手だと思った」と熱弁。テンポのいい下田のスタイルが中継を判断する材料になったという。

　ＨＢＯが中継する世界戦は、米国開催でも厳選された試合のみ。一方、昨今は国内の有望な若手の人材に乏しく、同局が本格的に海外の若手にも目を向けている事情もある。「勝つだけでなく、素晴らしい内容を見せてくれれば、次のチャンスは確実に出てくる」とデイビス氏。ＨＢＯが下田を招いて防衛戦を再び中継する可能性は十分だ。

　「日本代表」の責務がある。帝拳ジムの本田明彦会長は「世界では『日本の王者は海外に出ない』という定説がある。下田は運がいい。勝って他の日本人王者の米国進出につなげてもらいたい」と期待感を示す。

　計量後は、７日に現地に到着した母が腕をふるったちらしずしとお汁粉をほおばり、英気を養った。「懸け橋になりたい。持っているものを出し切って熱い試合を米国の人、日本にいる大事な人たちには俺の背中を見せたい」。偉業達成で、日本ボクシング界新時代のパイオニアとなる。

　◆ＨＢＯ　「ホームボックスオフィス」の略称で知られるボクシング中継として有名な全米最大級の有料テレビ。本社は米ニューヨーク。ライバル局の「Ｓｈｏｗｔｉｍｅ」と全米２大勢力を形成する。加入世帯は全米最大規模の約２８００万軒を誇る。