政府は、定期点検中の原子力発電所の再稼働などに関する国の統一見解について、「ストレステスト」と呼ばれる追加的な安全確認の実施は必ずしも再稼働の条件としないものの、原発の安全性を重視する内容とする方向で最終的な調整を進めており、週明けにも発表することにしています。
九州電力玄海原子力発電所をはじめ、定期点検中の原子力発電所の再稼働を巡って、菅総理大臣は、6日、従来の安全基準では不十分だとして、「ストレステスト」と呼ばれる追加的な安全確認の実施を打ち出しました。これに対し、玄海原発について安全性は確認できたとして、地元自治体に運転再開を要請していた海江田経済産業大臣が、7日、原発問題への一連の対応を終えた後に、辞任する考えを示唆したことから、地元自治体や与野党の間では、閣内の意思統一ができていないという批判が広がっています。このため政府は、この問題に関する統一見解を速やかに示す必要があるとして、枝野官房長官と海江田経済産業大臣、細野原発事故担当大臣の3人が、8日、断続的に協議を行い、見解のとりまとめに向けた調整を進めました。3閣僚によるこれまでの協議で固まったところによりますと、統一見解は、ストレステストやストレステストに準じた追加的な安全確認の実施を、必ずしも再稼働の条件とはしないものの、原発の安全性を重視する内容とする方向で、最終的な調整を進めています。政府は、見解の発表にあたっては、地元自治体に誤解や混乱を招くことがないよう、表現などを慎重に検討した上で、週明けにも発表することにしています。ただ、焦点となっている九州電力玄海原発について、佐賀県の古川知事は、ストレステストの結果を見たあとで判断するとしており、こうした統一見解が示されても、玄海をはじめ定期点検中の原発の運転再開は、事実上大幅に遅れる見通しです。