BLOGOS編集部
なかなか普段の生活では目に触れない、日本共産党の機関紙である「しんぶん赤旗」。
だが、最近でも九州電力による「やらせメール」事件を他紙に先駆けて報じるなど、赤旗発のスクープも決して少なくない。
しかし共産党こそ、かつての「蟹工船ブーム」のおかげもあって党員を若干増やしつつも、赤旗の発行部数は右肩”下がり”。
赤旗側も5日付の紙面で「発行経費を差し引いた日刊紙の赤字は、今年に入って月2億円になりました」と、その寂しい内情を淡々と述べるほどだ。
ネット上では共産党も「余命3年か」との声も聞かれる中、10日付の「赤旗」紙面からは、その厳しい財政事情が浮かび上がってくる。(BLOGOS編集部・野村)
画像からも分かるように、しんぶん赤旗読者への値上げアピールは紙面でもかなりのスペースを割いて展開されている。
1面のみならず、10面でも4日に開催された第3回中央委員会総会での日刊紙値上げ提案について「日刊紙の危機打開」と見出しをつけて大きく紹介。
赤旗は「たたかいに不可欠」、たたかうための「武器」だと訴えている。
今回の価格改定は以下のようになる。
赤旗は5日付の紙面でもその苦しい経営難を包み隠さず詳細に読者に向けて発信しているが、その内容はとてもヘビーだった。
それは同紙が「大企業などの広告による収入に依存している一般の新聞とは異なり」と自称するほどにタブーを恐れないからのか、はたまた、それだけ追い込まれている様子を表現しているだけなのか。以下、その中身を見ていく。
赤旗はこの10年余の間に36万人から、24万人余へと12万人弱もの日刊紙読者を減らしている。これは日刊紙だけを見ると、単純計算で1月あたり3億4000万円以上にも及ぶ収入減だ。
同紙は
ただ、しんぶん赤旗はこの日刊紙とは別に、月800円の「日曜版」を発行している。
日刊紙の読者はすべてが赤旗の購読を止めたわけではなく、この安い「日曜版」への乗り換えを行った読者が少なくないようだ。
共産党員や赤旗の読者は最近では高齢層や低所得者層に偏るとみられ、所得の伸び悩みと高齢化の進展は、月2900円の日刊紙購入の余力を奪っており、日刊紙から日曜版への移行が進んでいる。
日刊紙とは別の採算管理をしていた日曜版はこれに伴って収益を上げているものの、現在ではその収益も日刊紙の赤字の穴埋めに用いられている。
そして、その赤字克服のために赤旗が打ち出した戦略が今回の「月500円値上げ」であるわけだ。
5日付の赤旗は今後の黒字化戦略についてこのように語る。
これは値上げに伴って予想される読者減、そして新聞離れそのものと戦いながら進めるわけであるから、その道のりがいかに険しいかを物語っている。(以下のグラフは国内で発行される新聞全体と一般紙の動向。)
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10日付の赤旗は10面の特集で、北海道委員長の
中央委員会総会でも、赤旗の没落がすでに日本共産党の活動力低下に拍車をかけている現状が赤裸々に語られたようだ。
もちろん共産党の活動は日刊紙販売収入のみならず、党員からの党費や募金収入によっても維持されている。
しかし、党費収入はその納付率と実額で落ち、募金収入は額は大きいものの恒常的でないなど、こちらも安定性に欠く。
ここ2年でも総選挙や都議会選挙など大きな支出を伴うイベントが続く。
景気も上向かない中で、同紙の訴えは「同志」にどう響くのだろうか。
■関連情報
・九電、原発再開へ「やらせメール」 - BLOGOSテーマ
・「しんぶん赤旗」日刊紙発行の危機打開のために/――全党の同志のみなさんに訴えます/2011年7月4日 日本共産党中央委員会
・余命3年か?日本共産党が危ない JBpress(日本ビジネスプレス)
だが、最近でも九州電力による「やらせメール」事件を他紙に先駆けて報じるなど、赤旗発のスクープも決して少なくない。
しかし共産党こそ、かつての「蟹工船ブーム」のおかげもあって党員を若干増やしつつも、赤旗の発行部数は右肩”下がり”。
赤旗側も5日付の紙面で「発行経費を差し引いた日刊紙の赤字は、今年に入って月2億円になりました」と、その寂しい内情を淡々と述べるほどだ。
ネット上では共産党も「余命3年か」との声も聞かれる中、10日付の「赤旗」紙面からは、その厳しい財政事情が浮かび上がってくる。(BLOGOS編集部・野村)
1面スペースの1/3を使って悲痛な値上げアピール
画像からも分かるように、しんぶん赤旗読者への値上げアピールは紙面でもかなりのスペースを割いて展開されている。
1面のみならず、10面でも4日に開催された第3回中央委員会総会での日刊紙値上げ提案について「日刊紙の危機打開」と見出しをつけて大きく紹介。
赤旗は「たたかいに不可欠」、たたかうための「武器」だと訴えている。
今回の価格改定は以下のようになる。
日刊紙 :2900円→3400円
1部売り: 100円→ 120円
(いずれも消費税込み、9月1日から))
日刊紙だけで赤字は2億円
赤旗は5日付の紙面でもその苦しい経営難を包み隠さず詳細に読者に向けて発信しているが、その内容はとてもヘビーだった。
それは同紙が「大企業などの広告による収入に依存している一般の新聞とは異なり」と自称するほどにタブーを恐れないからのか、はたまた、それだけ追い込まれている様子を表現しているだけなのか。以下、その中身を見ていく。
赤旗はこの10年余の間に36万人から、24万人余へと12万人弱もの日刊紙読者を減らしている。これは日刊紙だけを見ると、単純計算で1月あたり3億4000万円以上にも及ぶ収入減だ。
同紙は
部数が減り、「売り上げ」が減るなかで、発行経費を差し引いた日刊紙の赤字は、今年に入って月2億円になりました。と伝える。
ただ、しんぶん赤旗はこの日刊紙とは別に、月800円の「日曜版」を発行している。
日刊紙の読者はすべてが赤旗の購読を止めたわけではなく、この安い「日曜版」への乗り換えを行った読者が少なくないようだ。
共産党員や赤旗の読者は最近では高齢層や低所得者層に偏るとみられ、所得の伸び悩みと高齢化の進展は、月2900円の日刊紙購入の余力を奪っており、日刊紙から日曜版への移行が進んでいる。
日刊紙とは別の採算管理をしていた日曜版はこれに伴って収益を上げているものの、現在ではその収益も日刊紙の赤字の穴埋めに用いられている。
そして、その赤字克服のために赤旗が打ち出した戦略が今回の「月500円値上げ」であるわけだ。
5日付の赤旗は今後の黒字化戦略についてこのように語る。
この料金改定によって26万部で採算がとれることになります。現在の24万から2万以上前進させるならば、日刊紙の発行を安定的な軌道にのせることができるようになります。つまり、日刊紙の読者を2万人獲得することが目標だというわけだ。
これは値上げに伴って予想される読者減、そして新聞離れそのものと戦いながら進めるわけであるから、その道のりがいかに険しいかを物語っている。(以下のグラフは国内で発行される新聞全体と一般紙の動向。)
赤旗の赤字は共産党の政治力衰退に直結
10日付の赤旗は10面の特集で、北海道委員長の
日刊紙の赤字が選挙中のビラの発行にまで負の影響を及ぼしているという発言を紹介。
中央委員会総会でも、赤旗の没落がすでに日本共産党の活動力低下に拍車をかけている現状が赤裸々に語られたようだ。
もちろん共産党の活動は日刊紙販売収入のみならず、党員からの党費や募金収入によっても維持されている。
しかし、党費収入はその納付率と実額で落ち、募金収入は額は大きいものの恒常的でないなど、こちらも安定性に欠く。
ここ2年でも総選挙や都議会選挙など大きな支出を伴うイベントが続く。
景気も上向かない中で、同紙の訴えは「同志」にどう響くのだろうか。
■関連情報
・九電、原発再開へ「やらせメール」 - BLOGOSテーマ
・「しんぶん赤旗」日刊紙発行の危機打開のために/――全党の同志のみなさんに訴えます/2011年7月4日 日本共産党中央委員会
・余命3年か?日本共産党が危ない JBpress(日本ビジネスプレス)
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