ここから本文エリア 地デジ映る?不安と不満/24日完全移行2011年07月08日 24日のテレビ地上デジタル放送完全移行まで残り20日を切った。国の調査では県内の地デジ対応機(テレビやチューナー)の世帯普及率は97・1%(昨年12月現在)だが、それでも移行と同時に映らなくなる「地デジ難民」の発生が懸念されている。アンテナの劣化や地理条件で電波状態が悪い「難視世帯」が存在するためだ。行政などは早めの対応を呼び掛けている。 「チューナーを買ったけど接続方法が分からない」「2台目のテレビはどうしたらいいのか」。大分市役所に設けられた「地デジ臨時相談コーナー」には連日相談が寄せられている。7割以上が高齢者だ。担当職員は「アナログ波が止まる24日の午後、大勢の人が一斉に駆け込んで来ないかが心配だ」と話す。 家電販売のケーズデンキパークプレイス大分本店(大分市)では今月、液晶テレビやチューナーの売れ行きが加速。32型前後の液晶テレビを中心に品薄状態が続いている。だが地デジ対応テレビやチューナーを買っても映らないことがあるという。担当の亀井優さん(27)は「ご自宅のアンテナの状況を詳しく聞きながら販売しています」。 総務省テレビ受信者支援センター「デジサポ大分」(097・515・8300)によると映らない原因の大半はアンテナや配線の老朽化。アンテナ本体の交換だけで最低1万5千〜2万円かかるのが一般的だ。 海沿いに集落が点在する大分市郊外の一尺屋地区に住む主婦(69)は昨年12月に地デジ対応テレビを買ったが、設定の仕方が分からずアナログ電波のまま使っている。だが積極的に地デジ設定に変える気にもなれないという。アンテナはあるが、映りが悪いことが気になっているのだ。「地デジテレビが映らないことが分かったらショックだ」。 電波が悪い地域は通常のアンテナを諦め、共聴アンテナの利用かケーブルテレビ(CATV)に加入する必要がある。だが共聴アンテナ設置には多額の費用がかかるほか、CATVも毎月数千円の料金がかかり、加入料も数万円する。この主婦は「これまで無料だったのに突然お金がかかるのは困る。国が全額負担してほしい」と訴える。 九州総合通信局(熊本市)によると、地デジ化に伴うこれら「新たな難視世帯」は県内で266地区1896世帯。うち1241世帯は共聴アンテナやCATVに加入した。だがCATVにも料金格差があり、トラブルも起きている。 日田市には市営と民間の両方のCATVがある。5月、民間局のエリアに住む主婦が、加入料や料金が安い市営局への加入を求めて日田簡裁に調停を申し立てた。エリア境界線の関係でそれまで同じ共聴アンテナを利用してきた約80世帯のうち、主婦を含む3世帯だけが民間局のエリアに入った。民間局は加入料4万2千円で月額2100円。市営局は、主婦らが加入を希望していた今年1月末までは4万円の加入料が無料で月額2千円。不公平感が生じたのだ。 このほか、山間部などでCATVの対象地区からも外れるなどした県内366世帯に国は暫定的にチューナーなどを貸与し、衛星放送方式による無料受信ができる措置を取る。だが見られるのは在京キー局の番組に限られ、地元の番組やニュースは流れない。 デジサポ大分の友田哲郎次長は「『映らない』という申し出がないと、対策の打ちようがない。早めの相談をお願いしたい」と呼びかけている。(原篤司)
マイタウン大分
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