長野五輪以来、20年ぶりにアジアで冬季五輪が開かれることになる。韓国の平昌(ピョンチャン)が、国際オリンピック委員会(IOC)で、2018年大会の開催地を射止めた。3大会連続の挑戦で、念願をかなえた。隣国の快挙に、心からおめでとうと言いたい。
県内には、長野五輪の開催地を中心に、平昌の招致活動を応援してきた人たちがいる。交流や連携をさらに深めて、平昌五輪の成功を後押しできるといい。
平昌は韓国北東部、江原道にあるリゾート地だ。日本では、人気ドラマ「冬のソナタ」のロケ地として知られている。
過去2大会は決選投票で涙をのんだ。今回は1回目の投票で過半数を制し、ライバルの欧州2都市を大差で退けた。失敗から学び、改善を重ねたという。
競技会場をコンパクトにまとめた計画は、IOCから高く評価された。アジアの冬のスポーツに新たな地平線を切り開く、というテーマにも説得力がある。雪のない国から子どもたちを招いて、冬のスポーツに親しんでもらう地道な取り組みも続けてきた。
投票前のプレゼンテーションには、李明博大統領も登場。国を挙げての招致は、五輪開催を熱望する世論に支えられている。
課題は多い。緯度が低いアジア地域での冬の五輪は、雪不足になる心配がある。平昌は人工雪などで対応する計画だ。
すそ野を広げる努力も欠かせない。韓国は冬季スポーツの歴史が浅く、スキー競技の本格的な普及は始まったばかりだ。
開催地の経験を生かし、信州から手助けできることは多い。
白馬村のスキー関係者などは、平昌の招致活動を後押しし、スキーの指導も重ねてきた。これが縁で、白馬と平昌の子どもたちの相互訪問が始まっている。
五輪会場の設営や整備にあたっては、暖冬が心配された長野のノウハウが参考になるだろう。平昌には「一校一国運動」をぜひ引き継いでもらいたい。
東京都が20年夏季五輪の招致に意欲を示している。18年の平昌五輪を受け、戦略の見直しが避けられない。アジアで五輪を続けて開いた例は、過去にない。
厳しい招致レースを勝ち抜くには、テーマや戦略、資金はもちろん、世論の高い支持が必要だ。16年五輪の落選は、地元の支持率の低さが敗因とされた。
今回、都民は五輪の開催を望んでいるのかどうか。現状を冷静に分析する必要がある。