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2011知事選:大沢氏が圧勝 盤石組織で再選 「変革」後藤氏及ばず /群馬

毎日新聞 7月4日(月)10時57分配信

 任期満了に伴う知事選は3日投開票され、無所属で現職の大沢正明氏(65)=自民、公明、みんな推薦=が、無所属の新人で前県議の後藤新(あらた)氏(50)▽共産の新人で党県委員長の小菅啓司氏(60)▽無所属の新人で貸家業の海老根篤氏(64)−−を破り、再選を果たした。大沢氏の得票率は67・54%。県内の市町村長の大半から支持されたほか、60以上の業界団体から推薦を受け、盤石の組織戦で圧勝した。故小寺弘之前知事の側近だった後藤氏は「変革」を訴えたが及ばず、小菅氏らは支持が広がらなかった。【鳥井真平、喜屋武真之介、奥山はるな】
 前橋市野中町の事務所に午後7時、早々と「当確」の一報が届くと、集まった支援者から大きな歓声が上がった。事務所に姿を見せた大沢氏は満面の笑みで支持者と握手を交わし、万歳三唱後、「総合力で勝利を勝ち取った。震災の影響で県内産業は厳しい状況にあるが、景気回復のため先頭に立って走り抜く覚悟だ」と2期目の抱負を述べた。
 前回07年は自民公認で出馬した大沢氏。今回は「県民党」を掲げて無所属で立候補した。県議50人のうち43人が超党派の「支援県議団」を結成するなど他候補を圧倒する陣容を誇った。特に自民党県議は集会で支持者を大量動員し、大沢氏への投票を呼び掛けた。
 大沢氏は4年間の実績として、中学校までの医療費無料化の実現、ドクターヘリの運用開始、八ッ場ダム問題への対応などを挙げたほか、政策実現にあたっては「県内の各市町村と連携して取り組んだ」と強調。2期目は「人づくり」「県民の安全・安心の確保」「産業活力の向上・社会基盤づくり」などを柱に51項目の公約を掲げ「実行力」をアピールした。
 選対事務長に就任した福田康夫元首相らは「油断が最大の敵」と組織を引き締め、後藤氏らに大差をつけた。
 ◇「完全無所属」伸び悩み 知名度不足響く−−後藤氏
 前橋市問屋町1の後藤新氏の事務所に落選の一報が入ると、事務所内は重苦しい雰囲気に包まれた。午後7時35分ごろに姿を見せた後藤氏は「私の力不足だった。大変申し訳ない」と深々と頭を下げ、「政策で大きな対立軸を打ち出したが、県民に浸透しなかった。私のアピール不足だった」と敗戦の弁を述べた。
 後藤氏は旧自治省から県に出向し、故小寺弘之前知事を支えた元県幹部。公約には脱原発と自然エネルギーの開発、県民税の10%削減や学校給食の無料化などを盛り込んだ。
 また3党推薦の大沢正明氏を意識し「完全無所属」を掲げて無党派層の票獲得を図ったが、投票率が伸び悩み、知名度不足を補うことはできなかった。
 ◇表明出遅れ響き、支持拡大できず−−小菅氏
 敗北した小菅啓司氏は、前橋市古市町1の事務所で共産党関係者を前に「今回の公約をもっと幅広い県民運動に広げ、発展させたい」と述べた。
 小菅氏は、知事選で88年以来の共産党公認候補。街頭演説を数多くこなし、脱原発や福祉の充実、八ッ場ダムの中止などを訴えてきた。しかし出馬表明が5月下旬と出遅れたことに加え、無党派層の票を後藤新氏と奪い合い、支持を拡大することができなかった。
 ◇投票率、過去最低36・62%
 知事選の投票率は36・62%(前回53・41%)で、03年の37・41%を下回り過去最低を更新した。大きな争点はなく有権者の関心を高めることはできなかった。期日前投票者数は10万7219人で前回を33・42%下回った。
 当日有権者数は160万7533人(男78万6623人、女82万910人)。
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 ■視点
 ◇未来像、もっと明確に
 3日投開票された知事選は、低投票率が示すように明確な争点がないまま、大沢正明氏の圧倒的な勝利で幕を閉じた。大沢氏は引き続き群馬のかじ取り役を任されたが、県民の信任を幅広く得たとは言い難い。
 大沢氏への支持表明は、県内35市町村のうち34市町村長や8割を超す県議に及んだ。自民、公明、みんなから推薦を得た大沢氏に、多くの業界団体も「寄らば大樹の陰」で支援。民主はまとまりに欠けて独自候補を擁立できず、自主投票になった。しかも他候補は知名度で劣る。選挙戦の構図にしらけた無党派層の多くが、投票所に足を運ばなかったとみられる。
 選挙戦は東日本大震災と福島第1原発事故の影響が色濃く残る中で行われた。県内にもまき散らされた放射性物質への対応、農作物の風評被害など、県政が抱える課題は多い。しかし各候補が掲げた政策は、自然エネルギーの開発促進や危機管理対策の充実などで投票の判断材料になるような大きな違いは見当たらなかった。
 一方、大沢氏は各地の集会で過去の実績をアピールすることに多くの時間を費やした。今後の県政運営では、群馬の未来像をもっと明確に示してほしい。【鳥井真平】
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 ◇知事選開票結果
 =選管最終発表
当 392,504 大沢正明 65 無現
  148,790 後藤新  50 無新
   33,355 小菅啓司 60 共新
    6,515 海老根篤 64 無新
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 ◇知事の略歴
大沢正明(おおさわ・まさあき) 65 無現(2)
 [元]県議長▽群馬交響楽団理事長▽日本赤十字社県支部長▽尾瀬保護財団理事長[歴]海上自衛官▽会社役員▽尾島町議▽社会福祉法人理事長▽県議▽自民党県幹事長▽慶大=[自][公][み]

7月4日朝刊

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最終更新:7月4日(月)10時57分

毎日新聞

 

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