夏場の戦いはスタミナの勝負でもある。その点で名古屋の前半の戦い方には、もう少し工夫が必要だ。
この日の神戸もそうだが、多くのチームが名古屋を相手にすると、まず引いて守るスタイルで試合に入る。その分、名古屋はボールも回せるし支配できている。だが、回す場所が低い位置になっているのが気になる。特に攻撃的な中盤の藤本、磯村がDFライン近くまで下がってきてボールを受けるので、3人のFWをサポートする位置に戻るまで長い距離を何度も走ることになる。
この2人が低い位置で受けることについては、相手も厳しくチェックしてこない。むしろ体力を温存している。逆に名古屋は、動きすぎて体力を消耗してしまう。ストイコビッチ監督が後半24分に2人を同時に交代させたのも、それが見てとれたからだろう。
相手が引いて守っている間は、前線に絡むべき選手は低い位置まで下りてこなくてもパスは回せる。むしろDFラインの裏やサイドのスペースを積極的に使い、相手DFに自陣のゴールを向かせるような働きかけが必要になる。そうすることで自らは体力を温存でき、相手の体力を奪うことができるからだ。
もう1つ、攻めの姿勢を貫く名古屋には、どこもカウンターを狙ってくる。実際、この試合でも速攻を許し、ゴールを奪われてもやむを得ないという場面があった。このカウンターに追われるのも、夏場は体力的に厳しくなる。中盤や前線でボールを奪われたときに、奪われた本人やそれに近い位置の選手が守備に切り替え、簡単にカウンターをさせないことが重要だ。(中京大監督、元グランパスDF・西ヶ谷隆之)
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