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シャトル引退で宇宙を独占するロシア、飛行士運賃を大幅値上げ


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 90分に1回地球を回る国際宇宙ステーション、この宇宙開発事業史上最も高額な1000億ドルを費やしたプロジェクトは数日中にロシアの単独事業となる。

Reuters

最後のスペースシャトルの打ち上げ準備

 米国最後のスペースシャトルが8日に打ち上げられ、その後、米国をはじめ各国はロシアへ委託して宇宙ステーションに宇宙飛行士を送り込まなければならない。有人宇宙事業を独占することになるロシアは、すでに意気軒高たるものがある。同国は飛行士を輸送するソユーズのカプセルの費用を2005年と比べほぼ3倍に値上げしようとしているが、他の国々は従う以外にない。

 「われわれは、非常に居心地が良いとはいえない状況だ。いや居心地が悪いという表現ですら婉曲的だ。われわれはそろって過ちを犯してしまった」と、欧州宇宙機関のジャン=ジャック・ドルダン長官は怒りをあらわにする。

 ソユーズの成功はコスト重視戦略の勝利だ。米国がスペースシャトルに総額2091億ドルを費消した一方、現在のロシアの宇宙事業は、年20億ドルしか使っていない。

 ただ、計画通りに進めばロシアの独占は2016年に終わるはずだ。今はまだ漠然とした計画だが、米航空宇宙局(NASA)が、民間企業を活用して営利目的の乗員運搬計画、いわば宇宙のタクシー事業を始める予定だからだ。

 2004年にブッシュ前大統領がスペースシャトル計画の終了を発表して以来、ロシアの宇宙当局は米国の宇宙飛行士を運搬する費用を値上げしてきた。直近の契約ではソユーズの乗員カプセルを宇宙ステーションに送るために一回で6300万ドルを支払うことが監査報告で明らかになった。2005年以降、2.75倍に値上がりだ。

 NASAは4月、人間を宇宙ステーションに運ぶシステムを構築するため民間の宇宙事業会社5社に2億6930万ドルを配分した。その中でもスペース・エクスプロレーション・テクノロジーズ(カリフォルニア州ホーソーン)は最先端を行っている。同社は再利用可能なシステムを使って7人を1回2000万ドルで飛ばせるという。これは大方の予想の数分の一だ。

 同社の最高経営責任者(CEO)で電子決済サービスのペイパルや電気自動車メーカーのテスラ・モーターズの共同創業者エロン・マスク氏は「この事業は納税者が払いたいと思うような金額でやらなければならない」と語る。同社は来年から同社が開発した「ドラゴン」宇宙船と「ファルコン」ロケットを使い無人で宇宙ステーションに物資を輸送する16億ドルの契約をNASAと結んでいる。

米ロ宇宙開発競争の主要な出来事

1957 ソ連がスプートニク1号打ち上げ。人工物が初めての地球の軌道に乗った

1961 ソ連のユーリ・ガガーリン飛行士が初めて宇宙空間に到達

1961 米国人として初めてアラン・シェパード飛行士が宇宙空間に到達

1965 ソ連の無人ロケットが月に着陸

1969 米国のニール・アームストロング、エドウィン・オルドリン両飛行士が月面に降り立つ

1981 米スペースシャトルの初飛行

NASA

足場に乗って、トラス構造物(鉄骨を交互に組み合わせたもの)の組立実験(ACCESS)を行う宇宙飛行士のジェリー・ロス氏(1985年)。この構造物はロス氏ともう一人の宇宙飛行士、シャーウッド・スプリング氏によって、アトランティス号が大西洋上を飛行中に組み立てられた

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