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「ハンターなら判別できる」と猟友会 林業作業員死亡

(2011年 2/7)

 厚真町の民有林で、エゾシカ猟とみられる銃弾で林業作業員が死亡した。仕事を頼んだ苫小牧広域森林組合の衝撃は大きい。「間違って撃ったなら名乗り出て」。北海道猟友会は異例の呼び掛けをした。林業現場も猟期は危険なのか。

 道によると、狩猟者登録は8114人(2010年12月)。うち道内在住は6054人で、道外は2060人だ。道内ハンターの8割強の5400人が道狩猟会に加入し、自主ルールを運用しながら狩猟を行っているという。

 東胆振の6地方部会で構成する道猟友会苫小牧支部(荒木義信支部長)の会員は151人。荒木支部長は「最近は全道的に未加入者も多い」と指摘し、個人で活動するケースも増えていると話す。

 国有林や道有林に入るには森林管理署などへの入林申請が必要だ。ただ、個人ハンターの中には「面倒がってと申請しないまま山に入る人もいる」と言う。猟友会は、民有林でも地主の了解を得るようにしているという。

 死亡した作業員は当時、重機をを使っていて、荒木支部長は「作業音は聞こえるはず」と指摘する。「ハンターは撃った後に現場を必ず確認するし、スコープ(照準器)を使えば300~400メートル先でも人とシカを判別できる」とも。さらに、厚真町の現場は「地元のハンターは通常行かない」場所で、「誤射とすれば、どうして現場から立ち去ったのか。すぐに救助したら助かったかもしれない」と怒った。

 苫小牧広域森林組合の本瀬吉英副組合長は「ありえない事故だ。これまで山の仕事で猟銃に撃たれる心配をしたことはない」と話した。若い作業員の命が失われたことに衝撃を受け、「原因が分かった段階で、目立つ作業服を着るなど、組合としても安全対策を考えたい」と再発防止を検討していく考えだ。

 エゾシカ猟期にはらむ山の危険性が現実になってしまった。道森林管理局の高橋治国有林野管理課長は「事故が発生したのは民有林だが、国の森林管理署に安全対策の徹底の呼び掛ける文書を送る」と話している。