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孤高の官僚・古賀茂明

孤高の官僚・古賀茂明

「週刊文春」には「阿川佐和子のこの人に会いたい」という名物コーナーがある。たいがい、阿川さんの対談の相手は、いわゆる文化人や実業家、スポーツ選手、政治家などが多い。ところが、同誌7月7日号の対談相手は異色で、「経済産業省大臣官房付」という肩書きだった。

その人の名は、古賀茂明さん(56歳)。東大法学部を出て通商産業省(現在の経済産業省)に入り、本省の課長や中小企業庁の部長などを歴任したエリート官僚である。そして、2008年に国家公務員制度改革推進本部事務局の審議官となり、2009年末に同審議官を解任される。そのあとのポストが「大臣官房付」だ。

「大臣官房付」というのは、窓際のポストである。なぜ、エリート官僚が窓際に追いやられたのか。古賀さんは、一般市民のレベルでいえば当たり前の改革案だと考えられる「天下りに対する規制の強化」や「事務次官ポストの廃止」などを審議官時代に主張した。だが、その当たり前の改革案が各省庁や官僚に猛反発されてしまう。

これまで橋本内閣や安部内閣でも試みてきたが、最終的には骨抜きにされてきた公務員改革(「行政改革」ともいう)。その後、福田内閣で「国家公務員制度改革基本法」が成立し、同法を推進するための事務局が設置された。民主党政権になり、「もしかしたら、ほんとうに官僚主導から政治主導になるかも」と思いきや、いまだに何も変わっていない。

本来ならば、行政というのは「優秀な政治家のもとで、官僚たちが国民のために働くシステム」(週刊文春 7月7日号 P127)でなければならない。とはいえ、実際にはそうならない。ある政治家が大臣になっても、あらゆる実務の経験と情報量においては、ずっとそこで働いている官僚にかなわないからである。

官僚にそっぽを向かれたら、大臣であっても仕事がうまくまわらなくなる。もし、官僚に「国民のために……」という気分や信念があれば、大臣とともに日本をいまよりマシにしていこうという雰囲気にもなる。だが、官僚には自分が守りたいものがあり、その守りたいものは「国民」よりも大切なものであると古賀さんはいう。

阿川:彼らは何を守りたいんですかね。

古賀:自分の生活でしょう。

阿川:老後の天下り先とか?

古賀:老後を含めた自分の人生設計でしょうね。役所って、全体が互助会になっているんですよ。二十二歳で役所に入ったら、七十歳くらいまでの生活をみんなで協力して守りましょうねっていう。だから自ずとリスクを取らない組織になる。

(同 P129)

官僚の現役時代に得る収入は、人生で得る収入の半分。その後、何カ所か天下りをして、もう半分の収入を得る。こうして彼らが得た収入の原資は、すべて税金である。このように、「国家公務員Ⅰ種試験に合格すれば退職後まで互助会がめんどう見ますよ。互助会は税金で運営されているので安心」みたいなシステムに異議を唱えるのは当然のことであろう。

にもかかわらず、そんな声をあげた古賀さんは「大臣官房付」に飛ばされたあげく、6月24日になると経済産業省の事務次官から「退職勧奨」されてしまう。勤めている役所から「退職してください」と一方的にいわれたのである。こんなことをしたら、「まともなことをいうと、やめさせられる」のが官僚の掟だと、世間に周知しているようなものではないか。

しかし、そんなカッコの悪い「官僚の掟」を周知してでも、リスキーな人物は排除し、自分の生活を守ろうとするのが「官僚」というものの本質なのかもしれない。そんな些細なことでは崩れないのが、彼らの「互助会」の輪なのであろう。いま、古賀さんは「あまりに性急だ」ということで退職勧奨に対する回答を留保している。

どこまで「互助会」の内部に居続けられるかわからないが、孤軍で奮闘する古賀さんを支持し、応援したい。ちなみに古賀さんは5月に『日本中枢の崩壊』(講談社)という著書を上梓している。現役官僚による官僚機構の批判は痛烈だ。とはいえ、一般市民の目線から見れば、古賀さんは当たり前の批判をしているにすぎない。

その当たり前の批判に、官僚たちが過剰反応している。つまり、一般市民には当たり前であることが当たり前でないのが「官僚」の世界だ、ということになる。ならばそんな異常な人たちに国の行政の中枢をあずけつづけていいのか、という議論になると思うのだが、読者のみなさんはどう考えるだろう。

(谷川 茂)


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