ニュージーランドを地図で見ると、北海道と小さめの本州みたいで、何となく日本列島に似ている。発電の仕方はずいぶん違う。原発はない。主力は水力で、全電力の6割以上をまかなっているそうだ。だから、雨量はとても大事。暖房で電力需要が増える冬に干ばつが重なると、もう大変だ。
3年前の今ごろがそうだった。「電力危機まであと4週間」みたいな警告が出され、テレビやネットは常時、湖の水位情報を流し、「明かりを消して」「食器は手で洗って」と節電大キャンペーンを繰り広げた。
幸い雨が間に合ったけれど、電力不足は、ニュージーランドで身近な問題だ。
実は今初めて知った。国際エネルギー機関(IEA)が、節電についての報告書を出してくれたお陰。ニュージーランドだけでなく、電力危機はいつも世界のどこかで起きていた。東京電力が明日の電気の逼迫(ひっぱく)度合いを緑、赤など色で表す予報を始めたけれど、南アフリカは先にやっている。
IEAによると、「地球のどこかで電力不足」はこの先25年も続くのだとか。世界の使用量の伸びに発電が追いつくには1300兆円も投資が必要で、簡単じゃないから。
ということは……。地球規模の節電市場が期待できるではないの!
涼しい下着から企業が取り入れたシステムまで、今、日本列島は節電型の商品やサービスがいっぱい。もっと出てくるだろうし、この先は寒さ対策だってある。初めて本気で経験して生まれた節電のアイデアや技術に楽しさなんかもまぶしたりして、世界市場に打って出ない手はない。
setsuden--。ありがたいことに、もう外国のメディアがこの夏の日本のはやり言葉としてそのまんま日本語で紹介してくれている。次なる日本ブランドに育つ可能性大。
毎日新聞 2011年7月8日 0時11分
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