東京電力福島第一原子力発電所の廃炉に向け、国の原子力委員会や東京電力などが検討している中長期的な工程表の案をNHKが入手しました。この工程表の案は、廃炉に向けての作業には、さまざまな課題があると指摘しています。
その1つが技術開発です。例えば、核燃料を安全に取り出すには、原子炉建屋の中の放射線量を下げることが欠かせませんが、そのために遠隔操作で除染を行う装置などを開発する必要があるとしています。格納容器を水で満たしたり格納容器や圧力容器の内部を調査したりする作業についても、専用の装置や機器などを新たに開発することが課題だとしています。また、燃料を取り出すための既存の機器が建屋の爆発によって使えなくなっていることから、新たな機器を設計し製造することが必要だとしています。一方、取り出した燃料の処理や作業に伴って出る放射性廃棄物の処分などについても、長期的な課題だとしています。特に、原子炉から取り出した燃料については、再処理を検討する一方で埋め立ても含めた処分の方法を幅広い観点から検討する必要があるとしています。今回の事故は、世界でも例を見ない深刻なケースだっただけに、工程表の案からは廃炉に向けて検討すべき課題が数多くあることが分かります。このため事故の収束に向けては、「電力会社だけでなく国内・国外の英知を集めた対応が必須」だとしています。