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“外交弱小国”日本の安全保障を考える

推進役は抗日連合会カナダ支部

 さてこうした経緯で採択されたカナダ下院の慰安婦決議をみれば、米国議会のそれと同様の内容であり、枠組であることが明白となる。つまり以下の趣旨だということである。

 「日本の軍や政府が政策として組織的に20万人以上の若い女性を強制徴用し、性的奴隷として、日本軍将兵のレイプの被害者とし、しかも戦後の日本はその行為に謝罪をしていない――」

 こんな断定が事実に反することは、これまた明白である。しかし日本政府は、今年7月に米国議会からそんな断定を突きつけられても、反論も抗議もしなかった。米国議会でそう断じる糾弾の決議を採択されても、当時の安倍政権は謝罪こそしなかったが、「残念だ」という簡単なコメントを出しただけだった。否定も抗議もしなかった。だから日本を非難する側にとっては、好ましい状態だったはずだ。

 ところが、そうした日本の従順な態度は高く評価されて、もう同じ糾弾はしないようになると思ったら、とんでもない。現実は正反対なのだ。日本が黙っているのを見透かしたように、同種の非難の矢がさらに激しく、さらに多方面から飛んでくるのである。このへんにも、いわゆる慰安婦問題の真実が存在するといえよう。

 カナダで慰安婦決議案を最も活発に推進した最大組織は「カナダALPHA」(「第二次世界大戦アジア史保存カナダ連合」)だった。この組織は米国カリフォルニア州クパナティノに本部をおく「世界抗日戦争史実維護連合会」(以下、抗日連合会と略)のカナダ支部である。「抗日連合会」世界本部は米国議会での慰安婦決議案提案者のマイク・ホンダ下院議員の選挙区内にある。

 同連合会は在北米中国人を中心に結成され、中国の政府や共産党との連携も密接である。日本の戦争に関する行動を一貫して糾弾し、戦後の対日講和条約での日本の賠償も謝罪も認めないとする点では「反日」と特徴づけても自然だといえる。

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