国連安全保障理事会は9日、独立したアフリカの南スーダンでPKO=平和維持活動を行うことを決め、国連の幹部は、近く日本政府にも自衛隊の派遣を要請することを明らかにしました。
スーダンでは、北部のアラブ系を中心としたイスラム政権と、南部のアフリカ系のキリスト教徒主体の反政府勢力の間で、20年余りにわたって内戦が続きましたが、2005年に和平協定が結ばれ、9日、南部が「南スーダン」として独立しました。これを受けて、国連安保理は8日、南スーダンで民族間の紛争を防ぎ、市民を保護するため、7000人規模の部隊と警察官などの文民からなるPKOを展開することを全会一致で決めました。これについて、PKOを担当する国連のムレ事務次長補はNHKの取材に対し、「紛争の防止に加え、法律などの整備も重要だ」と述べ、PKOが治安維持にとどまらず、国造りの幅広い分野に及ぶという認識を示しました。そのうえで、ムレ事務次長補は「日本は最近、カリブ海のハイチでのPKOに大きく貢献した。陸上自衛隊は東日本大震災への対応にあたりながら、ハイチでも活動を続けてきた。同様の活動を南スーダンでも期待したい」と述べ、近く日本政府に自衛隊の派遣を要請し、道路や空港の滑走路などのインフラ整備への協力を求める考えを示しました。日本政府としては、東日本大震災への対応に追われるなか、南スーダンの安定にいかに貢献するのか判断を迫られることになります。