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平成22年5月掲載     最終更新平成23年6月10日  

ご注意ください!お肉の生食・加熱不足による食中毒

梅雨の時期から夏にかけては、食中毒に注意が必要な季節です。食中毒は1年中発生していますが、暖かく湿気が多いこの時期は、食中毒の原因となる細菌の増殖が活発になるため、食中毒が発生しやすくなります。特に注意したいのが、鶏肉や牛肉などに付着する「腸管出血性大腸菌(O-157、O-111など)」や「カンピロバクター」などの細菌による食中毒です。これらの食中毒を防ぎ、安全に食べるためのポイントを紹介します。

 

食中毒を引き起こす原因はさまざまあります

食中毒というと夏に多いイメージがありますが、実は1年を通じて発生しています。食中毒を引き起こす原因は大きく分けて、「細菌」「ウイルス」「自然毒」などがあります。

腸管出血性大腸菌(O-157、O-111など)などの細菌による食中毒は、5月から9月にかけての夏季に多く発生しています。これは、細菌が高温多湿を好み、梅雨から9月ごろにかけて、増殖が活発になるためです。

気温が低く、空気が乾燥する冬は、細菌による食中毒は減りますが、「ノロウイルス」など、ウイルスによる食中毒が発生しやすくなっています。

自然毒は、キノコや野草、フグなどに自然に含まれている有害物質です。自然毒による食中毒も、細菌やウイルスによる食中毒ほど発生件数は多くありませんが、毎年発生しています。

 

月別発生状況(事件数:全体の事例 平成20年~22年)

月別発生状況(事件数:全体の事例 平成20年~22年)

資料提供:厚生労働省

 

近年増えている「カンピロバクター」「腸管出血性大腸菌(O-157、O-111など)」の食中毒

夏季を迎えるこれからの季節は、細菌による食中毒が発生しやすくなります。食中毒の原因となる細菌にはたくさんの種類がありますが、その中でも、発生件数が多かったり、幼児の重症化事例が発生したりして問題となっているのが、「カンピロバクター」と「腸管出血性大腸菌(O-157、O-111など)」による食中毒です。

カンピロバクターは鶏や牛などの家畜の腸にいる細菌です。生の鶏肉や牛肉に付着していたり、肝臓(レバー)の内部に存在しており、生肉に触れた手やまな板などから、野菜やほかの食品にも菌が付着します。少量でも感染し、菌が体内に入ると2日から7日くらいで、発熱や腹痛、下痢、吐き気などの症状が現れます。

腸管出血性大腸菌(O-157、O-111など)は、主に牛の腸にいる細菌です。牛の糞尿などを介して牛肉やその他の食品・井戸水等に付着します。腸管出血性大腸菌もカンピロバクターと同様、少量で感染します。菌が付いた食品を食べると、2日から7日くらいで、発熱や激しい腹痛、水溶性の下痢、血便、吐き気、嘔吐(おうと)などの症状が現れます。特に抵抗力の弱い子どもや高齢者は、重い症状になりやすく、合併症を起こして死亡する例もあります。

 

生肉や加熱不足の肉料理は避けましょう

カンピロバクターや腸管出血性大腸菌などの細菌は、家畜の腸にいる細菌なので、肉に付着する菌をゼロにすることは非常に困難です。ただ、これらの細菌は熱に弱いため、十分加熱して食べれば、食中毒にはなりません。

近年、増えているカンピロバクターや腸管出血性大腸菌による食中毒は、鶏肉の刺身やユッケなどのように肉を生で食べたり、加熱が不十分な肉料理を食べたりすることによって発生しています。また、手指やまな板を通して細菌が付着した野菜などを生で食べたり、細菌で汚染された飲料水を飲んだりして、食中毒が発生しているケースもあります。

カンピロバクターや腸管出血性大腸菌による食中毒を防ぐためには、生肉や加熱が不十分な肉の料理は食べないことが重要です。また、肉や脂をつなぎ合わせた結着肉や挽肉、筋切りした肉、タレや軟化剤に漬け込んだ肉、牛や鶏のレバーなどの内臓などは、内部まで十分に加熱してから食べましょう。目安は、肉の内部の温度が75度で1分間加熱することです。例えば、ハンバーグなら、竹串を刺してみて肉汁が透明になり、中の赤身がなくなった状態になれば、加熱は十分です。なお、上記の加工を施されていないステーキ肉であれば、菌は表面にしか付着していないので、表面を十分加熱すれば、問題なく食べられます。

飲食店などで食べるときには、生肉や肉を生焼けで食べる料理がメニューにあっても、なるべく避けたほうが安全です。また、焼肉やバーベキュー等、自分で肉を焼きながら食べる場合も、十分加熱し、生焼けのまま食べないようにしましょう。

今般、富山県等の飲食店で発生した腸管出血性大腸菌による食中毒事件では、肉を生で食べた方数名が亡くなられ、重症者も多数報告されています。この事件を受け、厚生労働省では生食用食肉を取り扱う施設に対して都道府県等から緊急に監視を行うよう通知するとともに、食中毒事件の調査や緊急監視の結果なども踏まえ、生食用食肉について食品衛生法に基づく規制の制定に向けて検討しています。

食中毒予防の3原則「つけない」「増やさない」「やっつける」

飲食店だけでなく、家庭でも食中毒は発生しています。食中毒の原因になる細菌やウイルスは、私たちの周りの至るところにあります。食中毒を防ぐ基本は、そうした食中毒の原因となる細菌やウイルスを「付けない」「増やさない」「やっつける」ことです。

家庭でも、食材を買うときから、保存、下準備、調理、そして食べるときまで、各段階で、細菌やウイルスを「付けない」「増やさない」「やっつける」ことを実践することが大事です。それぞれの段階で実践すべきポイントを紹介します。

1.食材を買うとき

  • 消費期限を確認する
  • 肉や魚などの生鮮食品や冷凍食品は最後に買う
  • 肉や魚などは汁が他の食品に付かないように分けてビニール袋に入れる
  • 寄り道をしないで、すぐに帰る

2.家庭での保存

  • 帰ったら生鮮食品はすぐに冷蔵庫へ保管する
  • 肉や魚は汁が漏れないように包んで保存する
  • 冷蔵庫は10℃以下、冷凍庫は-15℃以下に保つ

3.下準備

  • 調理の前に石けんで丁寧に手を洗う
  • 野菜などの食材を流水できれいに洗う
  • 生肉や魚は生で食べるものから離す
  • 生肉や魚、卵を触ったら手を洗う
  • 生肉や魚を切ったまな板や包丁は必ず洗って熱湯消毒する
  • ふきんやタオルは清潔なものに交換。台所は清潔に保つ

4.調理

  • 肉や魚は十分に加熱。中心部分の温度が75℃で1分間が目安

5.食事

  • 食べる前に石けんで手を洗う
  • 清潔な食器を使う
  • 作った料理は、長時間、室温に放置しない
  • 温かいものは温かいうちに、冷たいものは冷たいうちに食べる

6.残った食品

  • 作業前に手を洗う
  • 清潔な容器に保存
  • 保存して時間が経ちすぎたものは思い切って捨てる
  • 温め直すときは十分に加熱

 

最終更新平成23年6月10日

<取材協力:厚生労働省  文責:政府広報オンライン>

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