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「レバ刺し」消滅危機…なのに焼き肉店が安堵するワケ

2011年7月8日(金)17時0分配信 夕刊フジ 

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「レバ刺し」自粛通達に焼き肉店からは意外な声 [ 拡大 ]

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 食中毒のリスクから消滅危機に直面する牛レバー(肝臓)の生食問題。厚生労働省では、食品衛生法で禁じるかどうかの結論が出るまで、都道府県を通じて関係者に提供しないよう求めた。定番メニューだけに焼き肉店側も困惑しきりかと思ったら、意外なほど安堵の声が多い。そのわけは−。

 牛レバーは、解体処理の過程で表面にO157などの腸管出血性大腸菌が付着する可能性や、カンピロバクターなどの食中毒菌が内部に入り込んでいるケースがある。

 菌をトリミングで取り除くことはできず、食中毒を避けるには、肉の中まで十分に加熱するしか方法はない。

 厚労省では今後、一定の結論が出るまで消費者に生食を提供しないよう求め、鳥取県ではいち早く精肉店での生レバーの提供を禁止する方針を固めた。

 定番メニューの消滅危機に焼き肉店側も困惑しきりかと思ったら、ホッと胸をなで下ろしている関係者も少なくない。

 東京都内の個人経営主(63)は「レバ刺しを提供するのは正直怖かった」と胸の内を明かす。

 「(ユッケの事件で)死者が出るほどの食中毒が起きるなか、加熱以外に(食中毒の)対処方法がないレバ刺しには、何らかの規制がかけられるべきだった。このタイミングで万が一のことが起きれば、営業停止では済まされない。国が明確に生食を禁止してくれた方が、常連客の要望にもはっきり断れるので、厚労省の措置は歓迎しています」

 別の飲食店経営者(37)も「牛レバーや内臓系の生肉は、精肉のようにトレーサビリティー(流通履歴)を確認できないことも多く、卸業者を信用するしかない。なので今回の措置は、お客にとっても店にとっても前向きに受け取れる。ユッケ以上に人気があるレバ刺しの販売自粛は痛手だが、安全には代えられません」と話す。

 もともと、大手焼き肉チェーンは、レバ刺しの提供に消極的。叙々苑やレインズインターナショナルが展開する牛角では、一度も提供したことがない。

 「日本焼肉物語」の著書で知られる宮塚利雄・山梨学院大教授は「塩とごま油で食す、とろけるような舌触りは肉通にとって最高の味。ただ、焼き肉店では、私も信頼する店主に薦められたとき以外は注文しませんでした。焼き肉店とはその名の通り『肉を焼く』場所(で生で肉を食べるところではない)。生肉の規制強化は、時代の流れでやむを得ないでしょう」と話す。

 厚労省の通達に罰則規定はなく、「レバ刺し」を提供する焼き肉店はすぐになくなることはないとみられるが、注文する側も十分リスクを踏まえた方がよさそうだ。






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