赤字経営と老朽化が問題となっている西宮市立中央病院(同市林田町)について、今後のあり方を検討していた市の「同病院移転整備等検討委員会」は、病院を阪急西宮北口駅近くに移転した上で、新築するのが最適だとする中間報告書をまとめた。
報告書は、市議会の病院問題特別委員会で市が明らかにした。今後は同検討委が8月にも最終報告をまとめ、秋には市としての見解を示す。
同病院は、最寄りの阪急今津線門戸厄神駅から徒歩10分というアクセスの不便さ▽ICUなどの施設設備がない▽医師不足で診療機能が縮小--などの理由から赤字経営が続き、08年度以降だけでも市の一般会計から19億円以上の補填(ほてん)を受けている。また、75年完成の建物は老朽化し、震度6以上の揺れで倒壊する危険がある。
移転先にあがったのは、阪急西宮北口駅から徒歩5分の県立芸術文化センター第2駐車場。市有地と隣接する民有地を合わせ、約7100平方メートルの面積がある。交通アクセス、他の医療機関との距離、用地取得の経費などを考慮した結果、最適と判断した。
病院を「廃止すべき」という意見もあるが、中間報告では「今後の人口増や高齢化で、需要は高い」とした。今後は救急医療、がん診療、災害対応などに特化した役割を果たすべきとし、診療科を14から7に絞り、病床数も現在の257床から200床前後に減らすのが適当とした。
高い給与水準についても見直し、年功重視から技術重視への変更なども提言している。【大沢瑞季】
〔阪神版〕
毎日新聞 2011年7月8日 地方版