きょうのコラム「時鐘」 2011年7月9日

 梅雨明けの知らせも聞かないのに、「猛暑日」の襲来である。1日の最高気温が35度以上の日をそう呼ぶ。聞くだけで体がへばりそうな命名である

まだ耳新しい名前で、登場は4年前。それまでは25度以上が「夏日」で、30度を越えると「真夏日」で済ませていた。情報化社会はありがたい。5度刻みで新たに暑さを区分し、熱中症を誘発する危険な日を「猛暑日」として警戒を促す

「日射病」ではなく今は「熱中症」と呼ぶ。戸外に限らず室内にいても危険だからである。長年使い慣れた言葉は、もうお払い箱。情報化社会は暮らしに役立つ新しい知識を次々と伝える

ありがたいが、猛暑日など無いに越したことはない。熱中症も同類である。日本の伝統家屋は、外の暑さとは別の涼しさが自慢である。暑い日に心配をしていたのは、もっぱら外の「日射病」だった。猛暑日という新しい情報を知って、少し利口になった気がするが、それと暮らしの快適さとは別ものであろう

折も折、情報化社会の影の一つ、「やらせメール」騒ぎである。多難極まる列島に、猛暑まで居座られるのはごめんこうむりたい。