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アニメ産業(3) 改善しない労働条件

2011年7月8日10時24分

 Q 制作会社の経営は厳しいようだけど、働く人たちはどうなのかな。

 A アニメは絵を少しずつずらしていくことで動きを表現している。30分番組では少なくとも約3千枚が必要となる。それを1枚ずつ描いていくため、どうしても人手がかかる。

 映像のデジタル化で省力化が進んだ部分もあるが、手間がかかることに変わりはない。それを支えているのが現場の制作者(アニメーター)だけど、労働条件がいいとは言えない。

 Q 給料がよくないということ?

 A 日本アニメーター・演出協会が2009年に発表した実態調査(728人回答)では、20代のアニメーターの平均年収は約110万円。30代でも約213万円にとどまる。収入に不満がある人は全体の7割に達した。

 DVDなどソフトの売り上げが伸びず、テレビ局も制作費を抑える中では、給料も上がりにくい。人件費の安い中国などアジアに制作の一部を委託する動きが広まったことも、日本国内のアニメーターの待遇がよくならない理由とされる。

 Q それでも働いている人が多いんだね。

 A 実態調査で働く理由を尋ねると、「絵を描く仕事が好きだから」が最も多く、「仕事が楽しいから」「生きがいの一つ」といった回答が目立つ。

 アニメに限らずテレビ番組や音楽といったコンテンツ産業では、待遇が悪くてもあこがれの業界で働きたいという人もいる。

 そんな人たちのがんばりで作品が生まれているが、後継者不足も深刻だ。文化庁が10年度から若手アニメーターの支援事業を始めるなど、人材育成への取り組みも始まっている。

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労働条件
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