電力の使用量が最も少ない都道府県はどこかご存じだろうか。北海道である。なぜか。涼しい夏のため、エアコンを必要としないからである。データが十年前と古いので恐縮だが、十世帯に一台しかエアコンをつけていないという。
長野県も事情はよく似ているが、それでも一世帯に〇・七台といった割合でエアコンがある。
中部地方ではなぜか、滋賀県が多く、一世帯に二・九台。愛知県は一世帯に二・二台、同じく三重県は二・八台、岐阜県は二・三台、福井県は二・六台の比率という。
これらのデータは「日本人の平均値」(鳥羽賢著、生活情報センター刊)から拾ったが、全国平均でみると、一世帯のエアコン保有台数は二台である。
しかしこれほどたくさんのエアコンがいるのだろうか。原発事故で揺れる福島県は一世帯に一台である。それでも、そのエアコンのついたわが家から避難を迫られている家族がいる。
原因をつくった東京電力は、一兆二千四百七十三億円の赤字決算になり、代表権を持つ取締役八人の報酬返上や社員の給与カットなどによる経費削減を表明していた。
これは当たり前だけれども、私たちも一度便利すぎる今の社会を見直してみてはどうか。
そう思い、この原稿を書いている部屋の冷房を切ったが、これは大きな失敗だった。西日が入ってきてすぐに温度が急上昇し、汗をかきながら、原稿とにらめっこしたが、考えがうまくまとまらない。
それでもこう思うことにした。エアコンなんて登場してまだ半世紀にもならない。打ち水やら、うちわやらを使う歴史的な日本の耐暑方法を学びながら、それで節電につながるなら結構なことではないか。
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