週刊ダイヤモンドの取材に対して日興側は、「警察が捜査中のためコメントは控えさせていただきます。引き続き捜査に全面的に協力して参ります」(広報部)とだけ答えている。
ただ、金融庁に対してはすでに再発防止策を提示。そのなかには、「極端に出金が継続している顧客口座の監視を強化する」「現金を営業員が直接受け取ることは行っていないことを顧客に周知させる」といった施策が盛り込まれている模様だが、十分とはいえない。たとえばこのタイミングで、長期にわたって同じ顧客を担当している全営業員の口座を調査するなどの対応が必要だったのではないか。
折しも日興は、09年10月に米シティグループから経営権を譲り受けた三井住友フィナンシャルグループに加わり、この4月から社名を変更して新たなスタートを切ったばかりで、まさに出鼻をくじかれた格好だ。今後、こうした施策を徹底し再発を防げなければ、せっかくの船出も台なしになってしまう。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 池田光史)