昨年12月、帰宅途中の20代女性から金を奪い、エレベーター内で暴行したとして強盗強姦(ごうかん)の罪に問われた熊本市八王寺町、無職田中奨被告(21)の裁判員裁判の判決が7日、熊本地裁であった。鈴木浩美裁判長は「被害者の人格を全く顧みない悪質な犯行」として、懲役12年(求刑懲役20年)を言い渡した。
鈴木裁判長は女性が事件後、心的外傷後ストレス障害(PTSD)となり、4カ月後に自殺したことをあげ、「犯行は、生きていこうとする気持ちを完全に奪い去るほどのものだった」と述べた。
また、判決言い渡し後、女性が事件2カ月後に被告に宛てた手紙に言及。「恨みや非難めいたことはほとんどなく、犯罪を繰り返さずに更生してほしいとの思いにあふれていた。女性の気持ちを一生忘れないでほしい」と説諭した。田中被告はうつむきながら聞いていた。