2011年7月8日 0時23分
半導体大手エルピーダメモリに対する金融支援策に絡み、インサイダー取引をした疑いがあるとして、金融商品取引法違反の疑いで証券取引等監視委員会の強制調査を受けた経済産業省資源エネルギー庁の前次長(52)が、妻名義の口座で複数回にわたり同社株を買い付けていたことが7日、市場関係者への取材で分かった。
前次長は当時、商務情報政策局の審議官として公的資金を活用したエルピーダ社の資本増強策を直接担当する立場だった。証取委は妻名義にすることで当事者による取引を隠そうとした疑いもあるとみて調べている。
業績が悪化していたエルピーダ社は09年6月、改正産業活力再生特別措置法(産業再生法)に基づく公的資金を活用した資本支援を政府に申請、初の認定を受けた。市場関係者によると、前次長はこの申請情報の公表前に同社株を買い付けた疑いがある。
また、エルピーダ社は産業再生法の適用申請前に台湾の半導体メーカーとの間で提携交渉を進めていた。前次長はこの交渉にも関与。提携交渉をしていることは09年3月に国内で正式に公表し、4月には台湾のメーカーが提携相手にエルピーダ社を選んだと公表した。前次長は、これより前の時期にも同社株を買い付けていたとみられる。