秩父神社の絵馬掛け所に奉納された「あの花」の絵馬(6月14日撮影) |
秩父市を舞台設定のモデルにしたアニメーション「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない」(略称・あの花)。テレビ放映は終了したが、アニメに登場した場所を巡る「聖地巡礼」のファンたちが全国各地から訪れている。その中で「あの花」ファンが思いを込めて秩父神社に奉納した絵馬が、ごっそりなくなっていることが分かった。
同神社本殿裏の絵馬掛け所に「あの花」の主人公の「めんま」らを描いた絵馬が、目立つようになったのは6月に入ってから。一時は「ここへ訪れたみんなが超平和でありますように」「じんたんが学校に行きますように」「めんまとみんなの願いがかないますように」「秩父が元気になりますように」などの願いを込めた30枚から40枚の絵馬がズラリと並んでいた。今は数枚しか残っていない。中には京都や兵庫、大阪などから来たファンのもあったという。
なくなったことに気付いたのは6月末。絵馬が日増しに増え、同神社では「あの花」専用の絵馬掛けコーナーを作ろうと考えていた矢先だった。同神社は「せっかくファンの人が気持ちを込めて奉納したもので(心ない行為は)残念です」と話している。
「あの花」の絵馬を奉納した市内の女性は「遠くから来て一生懸命、絵馬を描いてくれたファンもいるのに、盗難でなくなるなんてすごく残念。だんだん数も増えてきて、それを見るのも楽しみにしていたのに」と話していた。
また、秩父アニメツーリズム実行委員会と秩父市商店連盟連合会が観光と地域振興策の一環で製作、9商店街に掲出した「あの花」の街灯フラッグ(横45センチ、縦63センチ)550枚のうち、約50枚がなくなっている。関係者は「(会話を交わした)ファンは礼儀正しく、言葉遣いも良い人たちが多い。ファンではないと思うが、いたずらに取らないでほしい」と話した。
「あの花」は秩父の町並み風景を舞台に、幼なじみの6人の青春と人間模様を描いている。4月から6月にかけてフジテレビで放映された。現在も全国から聖地巡礼のファンたちが、ひっきりなしに訪れている。店によっては「あの花」コーナーやマップ、ノートを置いたりしている。