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太平洋岸、東へ移動 3.11の「予兆」解析 東北工大教授
3月11日の東日本大震災発生の3日前から、東北の太平洋側沿岸部が約2〜4センチ東方向に動いていたことが、東北工業大の神山真名誉教授(地震工学)の研究で分かった。東北は震災以前は東西方向に圧縮され、太平洋側は西向きに動いていた。震災直前に動きが逆転したことになり、神山氏は「地殻変動を見ると(震災の)予兆があったといえる」と強調している。 成果は7日、仙台市青葉区の仙台国際センターで開かれた建設コンサルタンツ協会東北支部の「東日本大震災特別講演会」で報告された。 神山氏は衛星利用測位システム(GPS)を使った国土地理院の地殻変動監視システムのデータを利用。宮城県南三陸町志津川の南北、東西方向などの変動を調べた。 2000年1月からの長期的な変動を見ると、南北方向は南側に、東西方向は西側に動いていたが、3月11日の本震発生前はほぼ変動がなくなっていた。 さらに本震発生前の3月1日からの短期的な変動を詳しく調べると、同8日から東に約3センチ動いていた。南北方向には顕著な変化はなかった。 志津川は本震の際、東寄りに約4.4メートルの水平移動が観測されている。同様に約3メートル以上の水平移動が観測された釜石や気仙沼、石巻市牡鹿などほかの地点も調べると、志津川と同じように3日前から、3月9日の前震分の変動も含めて約2〜4センチ、東に動いていた。 共同研究を行う岐阜大のグループが独自に解析した結果でも、同様の傾向が見られるという。 海溝型地震で本震前に特異な地殻変動が観測されたのは、1944年の東南海地震の時だけ。今回の地殻変動はそれ以来となる。 神山氏は「地震学の専門家は予兆がなかったとする見方が多いが、この現象は予兆といえる」と話している。
2011年07月08日金曜日
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