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菅首相が唐突原発テスト 迷対応に混乱

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 菅直人首相が、全国の原発の安全性を評価するストレステスト(安全検査)の実施を唐突に言い出したことで7日、全国で電力供給不足が起きる可能性が出てきた。54基のうち稼働中は17基で、再稼働がなければ、来春までにすべての原発が停止する。海江田万里経済産業相の要請で、再稼働を目指していた玄海原発2、3号機の地元佐賀県玄海町も、方針を撤回した。海江田経産相は引責辞任する構えだが、菅首相は最後まで、海江田氏らに責任を押しつけた。

 玄海原発の再稼働決定が間近とみられた中、菅首相が突然、全国の原発の安全性を総合的に評価するストレステストの実施を6日に打ち出した。合格しないと再稼働は見込めず、原発を抱える全国の自治体は、混乱に陥った。7日、全国知事会の特別委員会が行われたが、「説明が不十分」など、政府の唐突さや閣内不一致の批判が相次いだ。

 佐賀県の古川康知事は、「(政府の)統一見解がないと到底、信頼できない。どの閣僚が発言しても、同じことを言う内閣で初めて、言葉に信頼が出る」と、政府の根回し不足を批判。「ストレステストをやること自体はいいと思うが、いかにも唐突」(茨城県の橋本昌知事)など、政府の迷走への怒りが噴出した。

 ストレステストは、欧州連合(EU)で6月、始まった。地震や津波に対する安全性から、テロによる飛行機攻撃への耐性まで細かく調べ、中間報告を経て最終報告が出るまで、7カ月はかかる。

 ただ、電力供給の大部分を原子力発電に頼る日本では、54基のうち、稼働中は17基。調整運転中の2基を除く残りは13カ月に1度の定期検査中だ。13基は今夏までに運転再開の見通しだったが、ストレステストで、地元合意のめどは立たず、再開時期は見通せない。稼働中の17基も順次、定期検査に入るため、再稼働がなければ来春、すべての原発が停止する。

 代替電源の安定的な確保は容易ではなく、全国的に電力不足に陥る可能性がある。東北電力や関西電力、四国電力などで今年12月から来年2月ごろに供給力不足に陥る見通し。電気料金値上げも予想され、国民は二重の不安にさらされる。海江田経産相は、ストレステストの最終報告は年明けになる可能性を示した。

 玄海原発を抱える九州電力の「やらせメール問題」もあり、電力会社への不信感は増している。菅首相がストレステスト実施を示したのは、脱原発解散をにらみ、原発の再稼働への関与を先送りする「政局目的」との見方が強い。

 7日の参院予算委員会では、海江田氏や細野豪志原発担当相がいない場で答弁を求められ「微妙なニュアンスがある。担当の大臣本人に質問してほしい」と、丸投げ。怒号で答えられなくなり、オロオロする場面もあった。

 [2011年7月8日8時27分 紙面から]


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