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[政治]ニュース トピック:主張
【主張】北IOC委員 入国は認めるべきでない
今月14日に東京都内で開かれるアジア・オリンピック評議会(OCA)総会に向け、日本政府が北朝鮮の国際オリンピック委員会(IOC)委員の入国を認める方向で調整している。
日本は2006(平成18)年10月の北朝鮮の核実験以降、制裁措置として北朝鮮籍保有者の入国を原則禁止してきたものの、「政治とスポーツの分離」をうたう五輪憲章の精神から、「特例措置」とする方針だとされる。
しかし、北朝鮮は制裁を受けた後も、核実験や弾道ミサイル発射実験を繰り返し、昨年は、韓国哨戒艦撃沈事件を起こし、韓国領の延坪(ヨンピョン)島を砲撃した。拉致問題についても、平成20年8月に北は横田めぐみさんら日本人被害者の再調査を約束しておきながら、一方的に先送りしたままだ。
そのような状況下で、いかに五輪精神とはいえ、制裁措置に例外をもうけることは、日本が北に対して軟化したという誤ったメッセージを国際社会に与えかねない。これまでと変わらない日本の断固たる姿勢を示すためにも、入国禁止の原則を貫くべきである。
自民党の拉致問題対策特別委員会で、「工作員がまぎれて入国する恐れがある。入国を申請する人物をしっかり特定すべきだ」(安倍晋三元首相)との意見も出された。北朝鮮籍保有者の入国は治安上の問題もあり、安易に例外措置を認めてはならない。
五輪憲章がうたう「政治とスポーツの分離」も大切な理念だ。しかし、例えば、1980(昭和55)年のモスクワ五輪を、日本や米国など多くの西側諸国がボイコットし、旧ソ連のアフガニスタン侵攻への強い抗議の意思を示した。スポーツが必ずしも政治と無縁でないことを示している。
枝野幸男官房長官は今回の北朝鮮IOC委員の入国問題について「現時点で正式な査証申請はないが、あれば、その段階で適切に対処したい」と述べた。
参院予算委員会で、菅直人首相の資金管理団体が拉致事件容疑者親族の周辺団体に6250万円の献金をしていた事実が改めて追及された。民主党政権の拉致問題に対する姿勢が問われている。
「死に体」の菅政権が拉致問題でなすべきは、北朝鮮の査証申請をきっぱり断り、北が3年前に約束した拉致被害者の再調査の履行を求めることだ。
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