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[政治]ニュース トピック:主張
【主張】原発検査 再稼働問題もてあそぶな
菅直人首相は一体何を考えているのか。
海江田万里経済産業相を通じて突如として発表した、全原発に対する安全性の余裕度を測るストレステスト(耐性検査)の実施である。
地元、佐賀県玄海町の岸本英雄町長や古川康知事の理解と歩み寄りで可能性が見え始めていた九州電力玄海原子力発電所2、3号機の運転再開は、これで一気に遠のいた。
玄海原発は、東日本大震災後に止まったままとなっている他原発の再稼働に先導的な役割を果たすと期待されていた。
定期検査後に運転再開不能の状態が続けば、来年5月までに国内の全原発が停止してしまう。計画停電の日常化も懸念される。国民生活や産業経済活動への負の作用は計り知れない。
ストレステストでは、原発が通常より過酷な外的条件に耐えられるかどうかが図面や計算機シミュレーションでチェックされる。原発が運転中でも可能だ。
今回の福島事故を受けて欧州連合(EU)は現在、域内の原発を対象に、地震や洪水などへの耐久性を数カ月がかりで確認中だ。国際原子力機関(IAEA)も6月の閣僚級会合でストレステストの実施を加盟国に勧告している。
安全性を高める努力は、原発の運転に不可欠だ。日本も震災直後の3月に津波への緊急対策強化を施し、6月には水素爆発の防止などからなる2段階の安全強化策をすでに実施済みだ。
海江田経産相は6月18日に、これらの対策を適切と認めた上で原発立地自治体の説得に着手していたではないか。菅首相も同じ見解であったはずである。
今回の唐突な方針転換は、菅首相の指示によるものだ。首相が古川知事に面会さえすれば大きく前進するという段階で、あえて長期を要するストレステストを持ち出し、しかも再稼働の前提とすることは、運転再開を避けたがっているとしか思えない。
最近の首相は、「脱原発解散」をちらつかせている。ストレステストが解散の布石であるなら、言語道断である。
九州電力が再稼働に理解を得ようと、佐賀県民向けの「説明番組」に一般市民を装ったやらせメールを送らせていたのは問題だ。だが、このことを再稼働先送りの材料としてはならない。
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