福島第1原発:地震16時間後、燃料の大半溶融 1号機

2011年5月15日 21時36分 更新:5月16日 3時40分

福島第1原発を津波が襲った瞬間=東電提供
福島第1原発を津波が襲った瞬間=東電提供

 福島第1原発事故で東京電力は15日、1号機では地震発生から16時間後には燃料の大部分が溶融したとする暫定解析結果を発表した。地震直後の炉心の状況が判明したのは初めて。1号機の燃料損傷について東電は、3月に70%と発表し、4月に55%へ修正。経済産業省原子力安全・保安院も当時、メルトダウン(炉心溶融)に否定的な見解を示しており、当事者の見通しの甘さが示された。

 5月上旬に必要なデータが判明し、重大事故を解析するプログラムにデータを入力して炉心溶融したとみられる1号機の圧力容器内の状況を解析した。

 東電によると、地震発生直後には圧力容器内の蒸気を冷やす「非常用復水器」が働いていたが、3月11日午後3時半ごろに1号機に津波が到達して機能が喪失したと仮定した。

 解析の結果、津波到達直後から圧力容器内の水位が急激に下がり始め、午後6時ごろに燃料頂部が水面から露出。同7時半ごろに燃料が完全に水面上に出て空だき状態になって損傷が始まり、同9時ごろには炉心の温度が燃料の融点(2800度)に達した。

 同日の午後7時50分ごろには燃料上部が溶融して崩落し始め、16時間後の12日午前6時50分ごろには、燃料の大部分が溶融し圧力容器底部に落下するメルトダウンの状態になった。東電は、この時点で圧力容器の底が損傷して水が漏れ始めたと推定している。ただ、損傷は限定的とみている。

 同午前5時50分ごろから炉心に淡水を入れ始めた。しかし、解析によると水位は容器が損傷した同6時過ぎに急激に下がって燃料の下端から4メートル下になり、その後、海水を注入しても変化はなかった。

 東電は「その後の注水で継続的に燃料の冷却ができている。今後大規模な放射性物質を放出する事態にはならない」としている。

 地震から2カ月以上たった15日に発表したことについては、5月上旬から原子炉の温度や圧力など詳しいデータが入り始めたため解析を始め、13日に結果が出たという。2、3号機でも同様の解析を実施する。【関東晋慈、江口一、藤野基文】

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