定期検査中の全国の原発の運転再開を巡り、「ストレステスト」と呼ばれる追加的な安全確認の実施が決まったことなどを受けて、佐賀県玄海町の岸本英雄町長は7日、玄海原発の2号機と3号機について、運転再開を認めた判断を撤回すると九州電力の眞部利應社長に伝えました。
九州電力の玄海原発では2号機と3号機がことし4月までに定期検査を実質的に終えていて、玄海町の岸本町長が4日、運転再開を認めることを九州電力に正式に伝え、全国で最も早く再開する可能性が出ていました。岸本町長は6日、国が「ストレステスト」と呼ばれる追加的な安全確認の実施を決めたことなどを受けて、7日、記者会見し、「国はテストをやらなくても原発は安全だと言っていたが、菅総理大臣は、ストレステストを前提に運転再開を認めると言っていて、私の判断は無駄だったように聞こえた。怒り以外の何ものでもなく、現状では国は信用できない」と政府の姿勢を強く批判しました。さらに九州電力の社員が先月、国が開いた玄海原発の安全対策についての説明会に向けて、運転再開を容認する立場でメールを送るよう関連会社などに指示していたことについても「信頼関係に亀裂が入った」と述べて、運転再開を認める判断を撤回することを明らかにし、このあと開かれた町議会の特別委員会でも撤回の方針が了承されました。これを受けて岸本町長は7日午後、九州電力の眞部社長に電話し、「7月4日に運転再開を了解すると伝えたが、これを撤回したいので、ご理解いただきたい」と判断の撤回を伝えました。岸本町長の電話に対し、眞部社長は「ご迷惑をかけ大変申し訳ない。ストレステストやメール問題での再発防止策について、なるべく早い時期に説明に上がってお示ししたい」と答えたということです。