東日本大震災:大船渡市 がれき焼却を民間委託の方針

2011年5月13日 15時0分 更新:5月13日 15時3分

 東日本大震災で被災した岩手県大船渡市が、焼却釜を市内に持つ太平洋セメント(本社・東京都港区)に、がれきの焼却を委託する方針を固めたことが分かった。処理方法を独自にまとめて作業を迅速化し、国の負担で費用を賄いたい考え。被災地の自治体で処理方法を具体化させたのは初めてで他の自治体にも影響を与えそうだ。

 大船渡市内では、津波によって民家や事業所など約3600棟が全壊。これに伴い、市の試算では約75万トンに上る大量のがれきが生じた。

 市は地元の業者に道路などのがれきの撤去を委託。市内11カ所の仮置き場で管理しているが、収容限度に近づきつつある。このため、2基の焼却釜を大船渡工場に持つ太平洋セメントに可燃がれきの焼却を打診した。

 地震で出た災害廃棄物は市町村ごとに処理するのが原則だが、今回の震災では仙谷由人官房副長官が国の直轄事業とする考えも示している。

 大船渡市は太平洋セメントとの契約方法については「調整中」と説明しているが、市は国の直轄事業でなく、民間企業と随意契約を結ぶなどの方法で処理を素早く進めたい考えがあるとみられる。

 市建設課の担当者は「がれきの処理は早急の課題。市の仕事として進めるのが望ましい」と話し、環境省廃棄物対策課の担当者も「地元市町村と地元業者が契約をして処理を行うのは自然な流れだ」と指摘している。

 太平洋セメント大船渡工場は、津波で浸水被害などを受けたが、9日、工業用電力の送電を始めた。同社の広報担当者は、がれき焼却について「企業の社会的責任もあり、ぜひ引き受けたい。契約方法は国の方針を見極めた上で対応する」と説明している。

【宮崎隆、狩野智彦】

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