福島第1原発:「賠償機構」設置し東電を支援 政府決定

2011年5月13日 11時20分 更新:5月13日 12時36分

閣議終了後、記者の質問に答える海江田万里経産相=国会内で2011年5月13日午前9時4分、藤井太郎撮影
閣議終了後、記者の質問に答える海江田万里経産相=国会内で2011年5月13日午前9時4分、藤井太郎撮影

 東京電力福島第1原発事故の損害賠償問題で、政府は13日午前、関係閣僚会合を開き、東電を公的管理下に置く一方で、官民で資金を拠出する「原発賠償機構(仮称)」が東電の賠償支払いを支援する枠組みを正式に決めた。損害賠償額の上限は設けない一方で、「電力の安定供給に支障が生じるなど例外的な場合は政府が補助を行う」とし、国が補償を肩代わりする余地を残した。東電の経営破綻を回避し、被害者の救済を確実にする方針。

 東電は上場を維持するが、財務実態やリストラ状況を政府設置の第三者委員会に監視され、事業計画は国の認可制となる。政府はこれらの措置を盛り込んだ法案の早期成立を目指す。海江田万里経済産業相は国会内で記者団に対し「東電を救済するためではなく、早急に被害の賠償がしっかりと行われることだ」と強調した。

 枠組みでは、東電を含む原子力事業者が負担金を拠出して機構を新設し、政府も必要に応じて換金できる「交付国債」を交付する。投入額は5兆円規模で調整している。

 機構は東電に賠償財源を融資するほか、東電が債務超過にならないよう、優先株引き受けによる資本注入なども検討する。機構の負担金については、東電を含む原子力事業者が毎年計3000億円程度を電力量に応じて負担する見通し。さらに東電は、毎年の収益から特別負担金として返済する。東電の年間負担は2000億円規模に上りそうだ。

 また、賠償に伴う電気料金値上げや財政負担などの国民負担を極力抑えるため、政府は第三者委員会を新設。東電を公的管理下に置いて徹底的なリストラを進め、賠償財源を捻出する。

 一方、東電は損害賠償の財源として不動産や保有する有価証券の売却整理などで5000億~8000億円を捻出。機構に一括売却して市場への影響を考慮しながら処分するほか、資産の証券化なども検討中だ。株式配当は10年程度見送る。

 枠組みは12日の関係閣僚会議で決める予定だったが民主党内の意見集約が遅れ、1日だけ持ち越した。【野原大輔】

◇政府の東電支援の枠組み

・賠償支払いに対応する支援組織(機構)を設ける

・原子力発電所を持つ電力会社は機構に負担金を支払う義務を負う

・機構は東電に資本増強などで援助し、債務超過にさせない

・機構は東電の資産を買い取る

・政府は機構に交付国債を交付し、政府保証を付けるなど必要な援助を行う

・政府は東電の経営合理化を監督する

・東電は、毎年の事業収益を踏まえて設けられる特別な負担金を機構に支払う

・機構は、東電を含めた電力会社からの負担金などで必要な国庫納付を行う

・東電の電力安定供給に支障が生じる場合は政府が補助できる条項を設ける

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