東京都立川市の警備会社「日月警備保障」立川営業所から約6億円が奪われた事件で、実行役とされる渡辺豊容疑者(41)が事件後、埼玉県内で逃走用車両を清掃していたことが捜査関係者への取材で分かった。リーダー格の蓑田哲郎容疑者(46)の指示で隠蔽(いんぺい)工作を図ったとみられる。
蓑田容疑者ら3人について、東京地検立川支部は8日、強盗傷害罪などで起訴するとみられる。グループと日月社との接点は判明せず、現金の大半も見つかっていないことから、警視庁立川署捜査本部は、指名手配中の元暴力団幹部、佐久間努容疑者(37)が事情を知っている可能性があるとみて行方を追っている。
渡辺容疑者は5月12日未明、植木秀明容疑者(31)とともに営業所に侵入し、警備員を刃物で襲って現金を奪ったとされる。逃走には渡辺容疑者の車が使われたという。
捜査関係者によると、渡辺容疑者が5月中旬と下旬の複数回にわたり、埼玉県内の知人の中古車販売業者の作業所を無断で使っていたことが周囲の防犯カメラの解析で新たに分かった。車内を清掃していたという。この際、蓑田容疑者からの電話を受けており、指示を受けていた可能性があるという。
この車両は6月初旬、茨城県の常磐自動車道・谷田部インターチェンジ近くの空き地で発見された。車台番号は削られ、車内も清掃されており、捜査本部は渡辺容疑者が証拠の隠蔽工作をした後、放置したとみている。
一方、6人目の容疑者の佐久間容疑者は、事件後も渡辺容疑者らと接触し、6月上旬に横浜市内の当時の自宅周辺で目撃されたが、その後の足取りは分かっていない。【山本太一、内橋寿明、小泉大士】
毎日新聞 2011年7月8日 2時30分