門柱の上がお気に入り“門柱犬”太郎
産経新聞 6月26日(日)14時40分配信
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門柱の上から四つ角を眺める太郎。つぶらな瞳に何がうつっているのか…=山形市(杉浦美香撮影)(写真:産経新聞) |
[フォト]門柱に登るため塀にジャンプ!
太郎は山形市上町の庄司権四郎さん(75)の飼い犬。10年前、同居していた孫と離れることになり、寂しさを紛らすために、知人から生後1カ月ほどの柴犬をもらってきた。
太郎は3、4歳ぐらいから教えたわけでもないのに、高さ170センチもある門柱に登るようになったという。登り方は2種類。犬小屋の屋根をジャンプ台にして、約150センチの塀にまず飛び乗り、40センチ四方の門柱に着地する。もう一つの方法は、表からいきなり塀にジャンプして門柱に飛び乗る。
訪問した際はうだるような暑さだったため、さすがの太郎も犬小屋で涼んでいたが、ふだんは午前5時ごろから門柱に登っているという。
登る理由を尋ねると、「眺めがいいからだろう」と庄司さん。庄司さん宅はちょうど四つ角にあり、門柱から四方八方を眺めることができる。家族の中で一番なついている庄司さんの車がくると、100メートル先ぐらいから見分け、門柱の上で喜んでほえるという。
自転車通学の中学生が、頭とちょうど同じ高さにいる太郎に気づき、「ワッ」と驚くことも。そんなおちゃめなことをして楽しむ太郎だが、番犬としての役割は果たしているのだろうか。
「いやあだめだあ。雨にぬれるのも、救急車のサイレンも大嫌い」と庄司さん。特に嫌いなのは雷で、雷の音が遠くで聞こえるだけで、一目散で犬小屋に逃げ込むという。冬で雪が積もっても、雪を払ってもらうとちょこんと門柱に乗っているという。
何より人が大好き。そんな太郎に会いたくて、エサを持って数日おきに訪れる婦人もいる。太郎も覚えていて、その女性が来ると大喜びという。女性がかつて飼っていた犬の名も太郎だったという。近所でも有名犬。取材中に1歳半の孫を連れたおじいちゃんが太郎に会いに来た。
ほとんど病気らしい病気もしてこなかった太郎だが、心配なのは最近、表から塀に飛び乗るジャンプの勢いがなくなってきていることだ。「こいつも年だからなあ、どっちが先か…」
地元での評判を聞きつけて東京のテレビ局が取材したいと言ってきたこともあったが、庄司さんは「そっとしてほしい」と断ったという。
ブログで紹介されたのをきっかけに、秋田県鰺ケ沢町の観光にも一役買い、世界遺産活動特別大使“犬”(ワンバサダー)に任命されたわさおのインパクトには及ばないが、くりっとした目が愛らしい太郎は、全国区の人気者になる素質は十分あるとは思う。
ただ、山形弁には「あがすけ」という方言がある。「でしゃばり、目立ちたがり」という意味で、肯定的にはあまり使われない。
積極的に外にアピールするのが得意ではないという“山形気質”を、高橋節副知事は「一歩退くところがある」と表現していた。
そんな気質の山形だからこそ「そっとしておいて」という庄司さんの願いどおり、近所で人気の“門柱犬太郎”として、庄司さんと一緒にいつまでも元気でいてほしい。(山形支局長 杉浦美香)
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最終更新:6月26日(日)14時51分