三遠南信自動車道の現道活用区間として、県が整備する飯田市の国道152号のうち、上村の豆嵐(まめぞれ)地区のバイパス区間(上中郷工区)が3日午後2時に開通した。記念式典が同日午前に現地であり、地元住民や関係者らが、2車線化に伴う利便性や安全面の向上を喜び、今後のさらなる地域振興を期待した。同工区(約1・1キロ)の開通により、1977(昭和52)年から進められてきた向井万場拡幅事業は全線(約6・3キロ)完了となった。
3日開通の同工区では、喬木村方面から豆嵐橋(長さ78メートル)、豆嵐トンネル(同470メートル)、宮の下橋(同125メートルを連結整備。付近の旧道は幅員が狭く、車両同士のすれ違いが困難なため、トンネル部分は信号による片側交互通行が行われていた。
豆嵐トンネル内での開通式は国道152号整備促進飯田市遠山郷期成同盟会が主催し、事業関係者や地元住民ら150人余が参加した。上村まちづくり委員会の熊谷貞夫会長はあいさつで、開通に伴う利便性の向上や交通安全の確保などを喜び、今後の観光や産業の振興を期待。「国道152号は遠山郷の生命を守る道。南信濃の未整備区間についても早期の開通を願う」と力を込めた。
県建設部の堀内秀部長は「35年来の向井万場拡幅事業工区の完成により、交通の安全、円滑化、さらには飯伊の交通ネットワークの強化、産業振興、健康福祉の向上などが期待される」と指摘。三遠南信道の関連事業に言及し「厳しい財政状況だが、早期の全線開通に向け、期待に応えたい」と述べた。
テープカットとくす玉割りに続き、地元の上村中郷獅子舞の先導で出席者らが宮の下橋までをパレード。「長く丈夫に」を願っての「親子三世代渡り初め」もあり、ひ孫を含む一家8人で担った近くの男性(82)は「開通は住民の悲願であり、本当にありがたい」と笑顔で話した。
県が整備する三遠南信道の現道活用区間は計21・1キロ。県飯田建設事務所によると、南信濃の小道木バイパス(1・7キロ)、和田バイパス(4・1キロ)、小嵐バイパス(2・4キロ)の未整備工区について、本年度中に橋下部工や用地補償などの事業に着手する。県境の青崩峠道路は国が担う。