時は、大戦終結直後
場所は、火の国木の葉隠れの里
事は、九尾の大暴れ
これは、この直後から始まる物語
九尾を封印されし赤子は父と母の遺体の横でただ只管泣き続ける。
まるで、父と母を助けることを懇願するように
~当時、遠征部隊小隊長山中イノイチの手記より~
九尾の暴走より早13年が経つ。
うずまきナルトは周囲の目もありながら、道を外さずに育ってきたといえる。
なんだかんだと口うるさいが、気にかけてくれる火影のじっちゃん、怪我をしたときや(といってもすぐ治るのだが)相談したいことがある時、いやな顔せず、対応してくれるイルカ先生や医者のヒガタちゃん、そして家族のように接してくれるイノイチ一家みんながいてくれたからこそ捻くれず育ってこれた。
特に、山中家に感謝しても、したりないほどの恩義がある。
その理由は、里の除け者の自分に衣食住をくれ、更には給金まで払ってくれる。
その金額もナルトがアカデミーで勉強をしても、お小遣いが入る位である。
そして、何よりも自身が寛げる場所を作ってくれたのが何よりもうれしい。
どうやら、この苗畑は山中家しか本来入る事が許されない場であるらしいのだが、イノイチ家族は他の分家の反対を押し切ってこの場に管理小屋を建てた。
他の分家も人柱力の育てた植物だと知られないために、多重の結界、隠遁術をかけこの空間に山中一族以外を近寄らせない空間を作り出した。
それ以来、この地にはイノイチ家族しか近寄ることがなくなったが、彼らは逆に週に一回泊まりに来るようになった。
いくら、この年で一人暮らしをし、早熟なナルトでも夜に一人はさびしいのだ。
そんな環境も相まって、ナルトは多少早熟ではあるものの、アカデミーで多少の馬鹿をやりながらも、充実した生活を送っている。
「ナルト~!!おまたせ!!」
そう言いながら、後ろからヘッドロック張りの抱き付きを加えてきた少女
彼女は「山中イノ」
山中家の一人娘であり、ナルトになんかしらお姉さん風を吹かせるナルトの幼馴染である。
どういう訳か積極的にスキンシップを図ってくることはいいが、そのスキンシップが過剰であることは否まない。
更には、そのスキンシップが、アカデミーの特に男子の悪意の視線にさらされるのだからナルトにとっては有難迷惑だ。
当初のナルトは、里の中での接触は極力避けていたのだが、あちらからの忍犬並みの探索能力(本当に忍犬+人を使ったこともある)でナルトを探し出し、行動を共にしてくる。
同期で人気のあるうちはサスケの事は気にならないのかを聞いたこともあるが、
「ま、負ける可能性のある勝負はしないほうなのよ!!馬鹿」
思いっきり、理不尽(?)にビンタをされた記憶はナルトの脳裏に鮮明に残っている。
しかし、昼飯には毎回誘いに来てくれ、アカデミーの中でも様々な友達を紹介してくれたのもイノであり、自分の課題を手伝ってくれたり、苦手な術の練習に付き合ってくれたり、ちょっと変わっているが大切な幼馴染だ。
「く、くるしいってばよ!!イノ!!」
そう言いながら、顔を青くするナルトに気付き、「ごめんね~」と言いながら腕からナルトを離す。
「こうきょうの前で、恥ずかしい事しないでくれってばよ。」
そう言いながら、ソッポを向くナルトにイノは少し申し訳なさそうに「ソーリー、ソーリー」と謝りながら、今度は手を繋いでくる。
当の本人はナルトの周囲の視線にまったく気にならないらしく平然と鼻歌を歌いながら手を繋いで帰りを共にするのだ。
正直、ナルトはこれだけは御免被りたイノだが、これを拒否するとマジ泣きをされるためもう諦めた。
「あいかわらず、バカップルやってんな~。」
けだるそうな声の方向を向くと、いつもの4バカがそこにはいた。
アカデミーいたずら四人組こと通称「四バカ」
奈良シカマルを筆頭に秋道チョウジ、犬塚キバ、襖イトマからなる、サボり&悪戯カルテットである。
奈良シカマルは常にワザと赤点ギリギリの答えしか書かないのでバカと称するに値するかわからないが、他三人は見事に赤点、居残りの常連である。名家、旧家の忍なのに…
「いよっ、ラブラブだね~お二人さん。このラブラブを少しは俺たちにも分けてほしいもんだ。」
「おい、ナルト女の子の口説き方教えてくれよ!!今年こそ正月は彼女と過ごすんだ!!」
とキバが囃し立てると、イトマが目を血走らせながらナルトの肩を思いっきり揺すって迫ってくる。
放課後に4バカと会うと必ずと言っていい程このやりとりだ。正直ウンザリしてくる。
「その前に、あんたは男磨きなさいよ。犬以下バカに怪力バカ!!」
と、その二人になぜかイノも突っ掛り最終的には収拾がつかなくなっていくのだ。
しかし、明日は卒業試験、山中家族がナルトにも練習を見てくれるために、管理部屋に泊まりに来るとのことだ。
イノイチいわく、何やら情報もリークしたらしい。
不正はあまり好まないが、早く忍となって世話になったみんなに恩を返すためナルトは今回の試験絶対落とすわけにはいかない。
正直言って時間が惜しい。
周りの痛々しい視線から逃げたいわけではない。
早く、試験の内容を知りたいのだ。
手をつないだまま、口論を始めているイノを「シカマル、チョウジ、後は頼んだ」と、伝え、イノを引く。
「ちょ、ナルト、いきなり引っ張らないでよ。」
なにやら、イノが言っているが気にしている暇はない。
ちらっと後ろを見たら、シカマルが、二人に影真似をつけて足止めをしてくれているようだ。追いかけられたらたまったものではない。いつもは、面白い友人なのだが今日はいつもと違うのだ。
そんなことを考えていると、うしろでイノがふふふと笑っている。不思議に思ってちらっと後ろに視線をやった。
「な~に、ナルト~ヤキモチ?」
「うっせ」
イノの言葉にナルトは顔を赤くし、その場から逃げる様にイノの手を離し走り立ち去った。
そんなイノも、「まってよ~。」と言いながらナルトを追いかける。
たとえ、明日が卒業試験であっても、そこにはいつもと変わらない一日があった。
あとがき
入れ忘れてました。ごめんなさい
今回は、卒業試験前からスタートと行きまして、いきなりナルトとイノの絡みと入りました。お粗末でごめんなさい。
だけど、ナルトとイノのカップリングだとなんだかんだ言いながら、イノがナルトの世話を焼くってのがあってるかな~っと思いまして(現状では全然世話してませんが)っと、あと原作のナルトポジションに「襖イトマ」というオリキャラを当てました。
あとは、名前だけ出たのもあったり、しかし、こういった投稿は初めてなので、お粗末かもしれませんが、よろしくお願いします。