旧日本海軍の戦艦「大和」建造のため、旧呉海軍工廠がドイツから輸入した大型試験機が6日、所有する広島大から呉市海事歴史科学館(大和ミュージアム)に寄贈された。大和ミュージアムは今月半ばごろから解体・移転を進め、開館10周年となる15年中の展示開始を目指す。【星大樹】
試験機は長さ28メートル、幅4・4メートル、高さ5メートル、総重量420トン。水圧を利用し、鋼材などを引っ張って接ぎ手の強度を調べたり、コンクリートの柱などを圧縮して強度を測ったりする。1934(昭和9)年に同工廠で運転を開始した。「大和」建造期に使われたが、詳細は文献が残っていないという。
戦後は旧国鉄の鉄道技術研究所呉実験所を経て67年に同大工学部に移管され、明石海峡大橋(兵庫県)などの橋梁や鉄塔などの強度試験に使われた。約5年前から、老朽化で本来の能力を発揮できなくなっていたという。
同大東広島キャンパスであった贈呈式で、浅原利正学長から小村和年・呉市長に目録が手渡された。大和ミュージアムの戸高一成館長は「貴重な資料を入手できた。迫力とスケールを見てほしい」と話した。
毎日新聞 2011年7月7日 地方版