広島市の松井一実市長(58)は、広島原爆の日の8月6日に読み上げる平和宣言で「エネルギー政策の見直し」に言及する意向を固めた。共同通信の取材に松井市長が6日明らかにした。
松井市長は「原子力発電という(核の)平和利用をエネルギー政策で是としていたのは、国民の理解と信頼があったから。今はその理解と信頼が崩れている」と指摘。「それに伴って(国に)考えを見直せということまでは言うべきだし、言っていいと思っている」と述べた。
原発への賛否そのものについては「国政にどうアプローチするかは、ぎりぎりのところで『少なくともエネルギー政策を見直してくれ』と寸止めにしたい。おのずと国民の理性が働くと信じている」と慎重な姿勢を示し、明言を避けた。
広島の平和宣言をめぐっては、4月に就任した松井市長が被爆者の体験や思いを募集して盛り込む方針を表明。7日に被爆体験談の第1回選定委員会を開き、委員の議論を踏まえて松井市長が起草する。
松井市長は就任後、今年の平和宣言で東日本大震災や福島原発事故に何らかの形で触れる考えを示していた。
長崎市でも、平和宣言文での原発事故の扱いについて起草委員会で議論されている。
毎日新聞 2011年7月6日 21時17分