【ジュネーブ=藤田剛】世界貿易機関(WTO)は5日、中国が鉱物資源の輸出を不当に制限しているとして米国や欧州連合(EU)などが提訴していた通商紛争で、米欧の訴えを認める紛争処理小委員会(パネル)の報告書を発表した。WTO協定違反ではないとする中国の主張は受け入れられず、敗訴した。WTOの判断は、同様に中国が輸出を制限しているレアアース(希土類)の通商紛争に影響を与える可能性が高い。
対象の鉱物資源は、マグネシウム、ボーキサイトやレアメタル(希少金属)のマンガンなどの計9品目。米欧は2009年6月、中国がWTO協定に違反してこれらの鉱物資源の輸出数量を不当に制限したり、輸出税をかけたりしているとしてWTOに提訴した。これにメキシコも加わり、同年12月にパネルが設置された。日本も利害関係のある「第三国」として参加している。
中国はパネルで輸出制限の目的は「環境への配慮」や「天然資源の保護」であり、WTO協定で認められていると主張した。しかし、報告書は中国の主張を認めず、WTO協定違反との判断を下した。中国がWTO加盟時に輸出制限の自制を約束していたことも判断材料に挙げ、撤廃を求めた。
中国は今後パネルの判断に従って輸出制限を撤廃するか、判断を不服としてWTOの紛争処理で二審に相当する上級委員会に上訴するかの選択を迫られる。
パネルの報告書について米通商代表部(USTR)は「米国の産業界と労働者にとって重要な勝利で、中国の広範囲にわたる輸出制限措置は非常に問題が多い」とのコメントを発表。EUも「自由貿易と資源に対する公平なアクセスに味方する明確な判決で、不公正な貿易制限への強いシグナルとなる」とのコメントを出した。一方、中国は「WTO協定に反するとの結論を残念に思う」との声明を出した。
中国は環境車用電池などに使うレアアースについても環境保護などを理由に輸出制限を導入。日米欧などは中国に撤廃を要求し、WTO提訴の可能性も示唆している。日本政府は「5日のパネルの報告書は中国の輸出制限全体に関する重要な判例となるため、レアアースでも正常化に向けた大きな一歩となる」としている。
WTO、パネル、中国、EU、レアアース
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