韓国軍:海兵隊のいじめ文化が悲劇を呼んだ

銃乱射事件引き起こした上等兵「つらい、死にたい」

 「Xのようなやつめ。チャン○○(所属部隊二等兵)XX、期数列外してみろ。次はこんなXのようなところには生まれたくない。お母さん、ごめん」

 4日午前、京畿道江華郡の韓国軍海兵隊第2師団海岸部隊で、銃を乱射し4人を死亡させたキム・ミンチャン上等兵は、服務中にこんなメモを残していた。キム上等兵は、加害者であると同時に、いわゆる「期数列外」の被害者だったともみられている。期数列外とは、特定の兵士を先輩・後輩として見なさず、集団でいじめるなどの行為を指す。キム上等兵はかつて、筆談で行われた取り調べに対し「とてもつらい。死にたい。殴打、いじめ、期数列外はなくすべきだ」とつづっていた。

 国防部(省に相当)のホームページには先ごろ、海兵隊所属と名乗るA一等兵の悲痛な訴えが書き込まれた。この兵士は「入隊して先任の兵士たちに殴られ、過酷な行為を強いられた上に、期数列外された先任兵にタメ口を使うよう強要された」と打ち明けた。これを拒否すると、先任兵から期数列外され、後任兵に「おい、おまえ電話がきたぞ」「食事の後、電算室に来い」などとタメ口を使われるようになったという。さらに、後任兵がロッカーをあさったり、乾いていない洗濯物を勝手に取り込んで投げたり、たばこや食べ物が盗まれたりと、組織的ないじめを受けたと訴えた。

 国家人権委員会は3月、海兵隊内部の集団的ないじめや嫌がらせに関する調査結果を発表し、期数列外が広範囲に及んでいると指摘した。だが、海兵隊関係者は「兵士の間では分からないが、公式的にそうした用語はない」と否定している。キム上等兵に射殺された故・クォン・スンヒョク上等兵の遺族も「期数列外は全くのうそ」と話している。

 人権委員会によると、海兵隊の一部の部隊では、先任の期数と食堂のメニューを覚えられなければパン5個を10分以内に食べろと強制され、できなければ手のひらやこぶしで顔やほおを数回殴られるという悪習もあった。このほか、士気が落ちたとの理由で上段のベッドにぶら下がるよう命じられ、腹や胸を殴られたり、手のひらやこぶし、サンダルなどでほおを叩かれるケースもあったという。

 こうした中、海兵隊特有の夜間点呼を意味する「巡検」も物議を呼んでいる。巡検は夜間点呼と似ているが、何か指摘事項があると頭を地面に伏せる体勢を取らせたり、装備を着けたまま練兵場(訓練のための運動場)を走らせるなど、過酷な体罰を行うのが特徴だ。

李衛栽(イ・ウィジェ)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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