原発耐性テスト:首相「再稼働の前提」 玄海は判断先送り

2011年7月6日 22時17分 更新:7月7日 1時32分

玄海原子力発電所=佐賀県玄海町で、本社ヘリから田鍋公也撮影
玄海原子力発電所=佐賀県玄海町で、本社ヘリから田鍋公也撮影
ストレステストの実施に関して報道陣の取材に応じる佐賀県の古川康知事=佐賀県庁で2011年7月6日、竹花周撮影
ストレステストの実施に関して報道陣の取材に応じる佐賀県の古川康知事=佐賀県庁で2011年7月6日、竹花周撮影

 政府が6日、国内の全原発を対象に安全性を総合的に評価するストレステスト(耐性試験)を課すと決めたことに関連して、菅直人首相は同日、ストレステストによる安全確認を原発再稼働の前提とする考えを示した。また、停止中の九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)の再稼働を容認する姿勢を示していた佐賀県の古川康知事は同日、今月中旬をめどとしていた再稼働の最終判断を先送りする意向を表明。福島第1原発事故後に各地の原発で運転停止が相次いでいるが、ストレステストの実施で、各原発の再稼働がさらに遅れるのは確実な情勢だ。

 政府の発表では、ストレステストは、再稼働待ちや準備中の原発で優先的に実施。玄海のほか、泊(北海道)、東通(東北)、志賀(北陸)、美浜、大飯、高浜(関西)、伊方(四国)、川内(九州)の6電力9原発(計13基)が対象になるとみられる。

 古川知事は先月29日、会談した海江田万里経済産業相から玄海原発2、3号機の再稼働を要請され、「安全性はクリアされた」と表明。経産省は玄海原発の再稼働を突破口に各原発の立地自治体に再稼働を働きかけたい意向だった。

 だが、古川知事は6日、佐賀県庁で記者団に「再稼働(の最終判断)はストレステストが終わるのを待ってからが妥当だ。現実的には7月中旬はない。まったく飛んだ」と表明。玄海原発のストレステストが数カ月かかる可能性を指摘し、最終判断の時期については「先が見えなくなった」と語った。また、原発を巡る菅首相と海江田経産相の認識が食い違っているとして、「何を信じたらいいのか」と戸惑いの表情を浮かべ、「首相の真意や政府としての統一見解がないと最終判断はできない」と述べた。

 一方、既に九州電力に再稼働了承を伝えた玄海町の岸本英雄町長は「状況によっては(再開了承を)撤回しなければならず、私の返事は保留する」と述べ、再開了承を白紙に戻す考えを示した。【竹花周、原田哲郎】

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